みんな持っていた「なめ猫免許」 現在も密かなブームだった?
懐かしのなめ猫歴史。誕生のきっかけは、当時の恋人が置いていった人形用の洋服?
2005年の復活以来、現在は第二のなめ猫ブームが到来しています。しかし、30年以上前の初代なめ猫ブームについては、詳細を知らない人も増えています。
1980年代に一世を風靡したなめ猫が誕生したきっかけから1982年に販売を終了するまでの歴史とは、どのようなものなのでしょうか。
初代のなめ猫が登場したのは1979年、その後のなめ猫プロデューサーである津田覚氏が、近所のクリーニング屋さんから猫を引き取ったことがきっかけとなります。
その猫たちが、当時の津田氏の恋人が自宅に置いていった人形用の洋服に興味を持ち、面白半分でその服を猫に着せたのが「なめ猫」始まりです。
なお、なめ猫の本名である「又吉(またきち)」という名前は、クリーニング屋の店長から取ったとされています。
その後、1980年にデビューし、爆発的な「なめ猫ブーム」が起こります。デビュー当時はOL層から人気に火がつき、その後値段の安い免許証グッズなどが発売され、大人や子供、男性女性を問わず人気が広がります。ほかにもカードやステッカー、ポスター文房具などが飛ぶようにヒットしました。
ちなみに、免許グッズの写真など、ほとんどが正面から撮影されているのは、横からだと「猫背」で格好が悪いからとされています。
1981年にはシングルレコード「なめんなよ」が発売され、当時のオリコンシングルチャートで最高5位を記録したほか、写真集の発売、CMや歌番組に出演するなど、芸能分野にも活動の幅を広げます。なお、「なめんなよ」の楽曲は2016年に再発売されており、現在でも入手可能です。
その後もブームは続き、最盛期は約500種類ものグッズが販売されますが、1982年に発売が終了されます。
発売終了に至ったのは、マスコミや動物愛護団体から「動物虐待」を疑う声が多く寄せられたほか、交通違反車が免許提示時に、こぞってなめ猫免許を提示し警察からクレームが入ったこと、津田氏の多忙などが原因とされています。
なお、撮影方法については、おもな仕掛けは衣装に施されていたため、猫への負担はほとんどなかったようです。
デビューから約2年間、斬新かつインパクトあるルックスで多くの人々を魅了して社会を席巻したなめ猫は、結果的にその過激さが仇となり、表舞台から姿を消す形となりました。
※ ※ ※
1980年から1982年のわずか2年間での、なめ猫の経済効果は約1000億円にも上ったといわれています。「日本で1番お金を動かした猫」として伝説となり、伝説となったと思えば再登場を果たし、現在再ブームを起こしています。
そのだけの影響力を持ってしまえば、もう誰からも、なめられることはないでしょう。
2021年には、海上保安庁の冬季海難防止活動ポスターになめ猫が登場してましたね