消防車もオラオラが必要? お国柄が出る日米の消防車で決定的な違いとは
日本の消防車のホースは左右に装備されているけどアメリカは?
日本とアメリカの消防車の違いは、ほかにもあります。それはメーターやスイッチ類の多さです。アメリカの消防車は、ざっと数えただけでも30近いメーターやスイッチが並んでいます。
「消防士の重要な仕事は消火活動や救助活動ですが、同じくらい重要なことのひとつに、水圧を常にチェックしながら水量を管理するという仕事があります。
これは日本もアメリカも同じなのですが、日本の消防車は操作系が左右に分かれており、モリタの消防車では『eモニター』というモニターで圧力や流量が瞬時にわかるようになっています。
アメリカの消防車は操作系が一か所に集約されているため、メーターやスイッチ類が多いように見えます。
また、日本はポンプから出る部分の圧力を確認するのが一般的ですが、アメリカの消防車はポンプから出たところのほかに、吐水口それぞれの圧力計がついています。圧力をチェックする部分が多いことから、メーターの数も多くなっています」(モリタホールディングス広報室)
さらに、消防車を見ただけでわかる決定的な違いは、操作パネルやホースの配置です。日本の消防車は左右対称に両側についていますが、アメリカは片側だけです。
日本は住宅密集地など狭い場所で消火活動をすることも多く、操作盤やホースが左右両側についていることで、消防車の位置に関わらずどちらからでもスムーズに消火活動ができるように配慮されています。
ちなみに、日本とアメリカは側面にホースが配置されていますが、ヨーロッパの消防車は背面(後部)に吐水口がマウントされているのが一般的です。
これも、ヨーロッパの狭い石畳の道路などで消火活動をする際、背面にホースがあれば左右どちらにもホースを伸ばしやすくするための合理的な配置といえます。
※ ※ ※
車両に関することではありませんが、消防車で消防活動を行う消防士の身分が、日本とアメリカでは大きく異なっています。
アメリカの消防士の85%が報酬を受けないボランティアで活動しており、消防士の総数は100万人近くに達しています。
日本にも普段は別の職業を持ちながら消防団員として活動する制度がありますが、身分は特別職の地方公務員です。消防団員には市町村の条例に基づいて、報酬や出動手当が支給されます。
さらにアメリカのボランティア消防士は給料が出ていないというだけで、訓練や装備はすべて職業消防士と同一で、消火活動以外にも救急救命の仕事、交通事故の処理、有害物質の拡散防止など、対応する緊急事態は広範囲に及んでいます。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。