ミニバン市場は縮小傾向だった? 増加するSUV市場との関係性とは

国内では新型SUVモデルが続々と登場し、SUV市場が盛り上がっています。一方で、好調を維持しているように見えるミニバン市場が縮小傾向にあるようです。SUVとミニバンには、どのような関係性があるのでしょうか。

ミニバン市場は縮小傾向なのか?

 ミニバンは昔から根強い人気を誇っていますが、ここ数年では徐々にミニバン市場が減少傾向にあるのではないかといわれています。 

 一方で、SUVの人気が高まり、自動車メーカーは多種多様なSUVを市場に投入。まさに、SUVブームといえる状況です。ミニバン市場とSUV市場には、どのような関係性があるのでしょうか。

2019年上半期(1月から6月)においてSUV市場No.1のトヨタ「C-HR」とミニバン市場No.1の日産「セレナ」
2019年上半期(1月から6月)においてSUV市場No.1のトヨタ「C-HR」とミニバン市場No.1の日産「セレナ」

 約30年ほど前に、「RVブーム(クロカンブーム)」が起こり、そして「ミニバンブーム」がやってきます。その後、「軽自動車」や「コンパクトカー」といったジャンルも定番化され、いまに至っています。

 ミニバンは、家族や友人とでクルマに乗って旅行やレジャーにいく需要が高まったことから、人気が高まりブーム化したといわれます。

 なかでも、トヨタ「エスティマ」やホンダ「オデッセイ」などの登場をきっかけに人気に火が付き、2000年代に入ってからは、トヨタ「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」、日産「セレナ」、ホンダ「ステップワゴン」といったミドルサイズミニバンを売れ筋のモデルになります。

 その後は、フルサイズミニバンでいわゆる高級ミニバンのトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」、日産「エルグランド」もミニバン人気に拍車を掛けたのです。

 しかし、最近ではコンパクトサイズのトヨタ「シエンタ」やホンダ「フリード」が3列シートの多人数乗車ではなく、レジャー道具の積載性や車中泊などの使い勝手に特化した2列シート車の設定などによって人気を博しています。

 一見、ミニバンジャンルというなかで、サイズ感やニーズの変化により移り変わりがあるように思えていました。

 しかし、ミニバン市場のユーザー動向における「リピート/流入/流出」をマツダが調査したところ、2010年のミニバン市場はリピートやリピートが多かったのに対して、2014年ではリピートに変化はありませんが、流入が減少し、SUVからほかのジャンルに乗りかえる流出が増加していました。

 さらに、2018年では新型モデルの登場などもあってリピートこそ増加していますが、流入に対して流出が多い傾向は変わっていなかったようです。

 一方で、SUV市場は年々増加傾向にあるとマツダはいいます。国内SUVの登録車/軽自動車の販売台数の推移は、20万台強でしたが、2018年には約65万台を記録して、2019年には70万台に近い台数になると予測されます。

 国内のSUV市場について、マツダの国内営業本部の担当者は次のように説明しています。

「国内のSUV市場は伸び続けているといえ、直近でも新型SUVの投入は続いており、2020年もさらに伸びると想定しています。

 一方で、セダンやミニバン市場の縮小傾向が続くなか、SUVの構成比は2010年からの9年間で2.5倍増となり、2018年にはセレナやアルファードなどのミドル・フルサイズミニバンと同等の構成比です。

 そのため、SUVは登録車全体で高い構成比を占める小型ハッチバック(アクアやマツダ2など)に次ぐ、2位規模の市場に成長しているといえます」

※ ※ ※

 では、なぜミニバン市場が減少傾向にあるのに対して、SUV市場は伸びているのでしょうか。さまざまな理由が考えられるなかで、多くのSUVラインナップを持つトヨタの販売店スタッフは次のように話します。

「ミニバンからSUVにユーザーが移っている理由はいくつかあると思います。まずは、ミニバンが流行った頃はいまよりも祖父母や複数のお子さまがいる家庭が多くありました。しかし、最近では多くても4名家族という風に家族のスタイルが変化しているのではないのでしょうか。

 その結果、多人数乗車が必須だったミニバンから使い勝手やライフスタイルに合う多様性をもったSUVが流行ったのだと思います。実際に、当店でも『子どもが成人した』、『老後はアウトドアや釣りに冒頭したい』といった理由などで、ミニバンからSUVに変えたお客さまはおります」

 また、前出のシエンタやフリードに2列シート車やSUV風のグレードが追加された理由でも、「年配のお客さまなどから車中泊をしたいという要望があった(シエンタ・開発主査)」や、「SUVのテイストを持ったスライドドアのクルマが無かったため、ミニバンの機能を持ったSUVテイストのグレードを追加した(フリード・開発主査)」と、アウトドアや車中泊といった、ニーズが全体的に高まっていることがわかります。

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