「喫煙車と禁煙車」どっちが好み? クルマの売買に与える影響とは

禁煙車/喫煙車、あなたは気にしますか? クルマの売買では、大きく関係してきます。では、どれほどの影響があるのでしょうか。

喫煙者が減り、喫煙車の人気も下がる。その査定額の差は?

 中古車を選ぶ際に「禁煙車/喫煙車」は、大きなポイントといえるでしょう。多くの人が禁煙車を好む傾向にありますが、禁煙車か喫煙車では、クルマの買取りや下取りの際の査定にどれほどの差があるのでしょうか。

喫煙状態で査定額に影響することも
喫煙状態で査定額に影響することも

 タバコは、病気を患うリスクがあるほか、環境的な観点から年々と喫煙場所が少なくなり、それとともに喫煙者数も減少傾向にあります。

 JTの喫煙者率調査によると、成人の喫煙率は2018年で男性27.8%・女性8.7%、男女計で17.9%となっています。これは、平成元年の男性61.1%・女性12.7%と比べると大幅に減少しており、男性では全体の約三分の一程度の割合まで減少しているのです。

 その流れもあり、レンタカーなども禁煙車を選ぶ人が多くなっています。タイムズカーレンタルでは、取り扱いは禁煙車のみとしているほか、トヨタレンタカーでも乗用車とワゴン車(Web予約の場合)は全車が禁煙車となっています。

 喫煙車が嫌われる理由としては「タバコの臭いが気になる」「天井や内装がヤニで汚れている」「シートに焦げ跡がある」など、タバコを吸わない人にとっては不快に思う原因が多くあります。

 では、クルマを中古車として売りに出した場合、喫煙していたかどうかは下取り価格に影響するのでしょうか。

 一般財団法人日本自動車査定協会では、査定項目によって点数を定めています。タバコやペット、芳香剤などの臭いは40点の減点、天井や内貼りのヤニ汚れは40点の減点、1cm未満のタバコの焦げ跡は10点の減点となり、タバコに関する減点は90点前後です。

 年式や車両によって1点あたりの金額は異なりますが、仮に「1点=1000円」の場合だと9万円が減額値となります。

 この評価基準なども加味して、一般的に喫煙車は5万円から10万円程度の減額をされることが多く、高級車であれば数十万円以上となるケースもあるとされています。

 また、電子タバコについては、ヤニ汚れはないものの独特の臭いが残るため、評価基準に影響するとされています。ちなみに、芳香剤の臭いやペット臭も査定額に影響するため、禁煙車であっても臭いによる査定額が減額されるので注意が必要です。

 中古車販売店「ガリバー」を運営する株式会社IDOMは、以下のように話します。

――喫煙車と禁煙車とでは、買取り価格・販売価格・下取り価格に違いはあるのでしょうか。

 弊社では、喫煙車と禁煙車で買取価格および販売価格に差はございません。理由は、禁煙車を証明することが難しいからです。ただし、とくに臭いの強い車両に関しては、買取価格、および販売価格に影響がある場合があります。

 しかし、臭いの感じ方は人によるので、具体的にいくら変わるのかは検査員次第になります。

――電子タバコも含まれるのでしょうか。

 基本的には買取価格および販売価格に差はございませんが、あまりに臭いのひどい車両に関しては、買取価格に影響が出る場合もあります。

※ ※ ※

 喫煙車は査定額に影響するだけでなく、タバコを吸わない人にとっては購入対象外のクルマと判断される場合もあります。買取店や査定士によって金額は異なりますが、減額となることに変わりはありません。

 少しでもクルマを高く売りたいのであれば、車内ではタバコを吸わない方が賢明といえます。平成30年にタバコと運転の関係について東北大学より興味深い研究結果が発表されました。喫煙者は「交通事故死亡のリスクが高まる傾向にある」というのです。

 この研究は、1993年に茨城県内の38市町村で健康診断を受けた40歳から79歳の9万7078人を対象とし、2013年までの死亡状況を追跡するといった内容です。

 20年間追跡した結果、葉たばこを1日20本以上吸う男性は、非喫煙者と比べて交通事故死亡のリスクが「1.54倍」高かったとしています。なお、女性は喫煙者の人数が少なく、統計解析をおこなうことができなかったとしています。

 では、なぜ喫煙が交通事故での死亡に繋がるのでしょうか。原因は、大きくふたつあるとされています。

 ひとつめは、「不注意運転」を引き起こす可能性があるためです。タバコへ火をつける瞬間や落ちてしまったタバコを拾う際は、よそ見運転の状態となります。

 交通事故は一瞬のタイミングが命取りとなる可能性があり、これは大変危険な行為です。運転中のカーナビやスマホの操作は禁止されているのに、喫煙に関してのルールはありません。

 ふたつめは、「ニコチン依存」によりイライラや体調不良を起こし、運転に悪影響を与える可能性があるためです。なかなかタバコを吸えないことはストレスを高め、無茶な運転や不注意運転に繋がるとされています。また、呼吸器系の疾患により正常な運転操作がおこなえず、交通事故へ繋がる可能性もあるとされています。

 愛煙家にとっては、タバコを吸う時間は至福のひとときです。しかし、タバコを吸う際は、周囲への配慮だけでなく「自身の安全」も考えて吸うようにしましょう。

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