スーパーカーへの憧れだった!? リトラクタブルヘッドライトを広めた昭和50年代の車5選
小型車にもリトラクタブルヘッドライトが普及!?
●日産「パルサーEXA」
1978年に日産のコンパクトハッチバック「チェリーF-II」の後継として発売された初代「パルサー」は、欧州市場を主軸としたグローバルカーでした。
その後、1982年に2代目へモデルチェンジした際に、今度は北米市場を強く意識した「パルサーEXA」が派生車として登場します。
初代パルサーが3ドアハッチバッククーペだったのに対し、パルサーEXAは当時人気が高かった「シルビア」と同様な、短いルーフと切り立った角度のリアウインドウの2ドアノッチバッククーペです。
チェリーから続くFF車でありながら、リトラクタブルヘッドライトを採用したことで、スポーツカーのようなルックスを演出。
搭載されたエンジンは当時の「サニー」と同じ1.5リッター4気筒SOHCの「E15E型」で、スペック的には平凡でしたが、サスペンションがスポーティなセッティングとなっており、パルサーEXAはキビキビとしたハンドリングで高く評価されます。
1983年のマイナーチェンジでは国産車初のドアミラーを装着し、パワフルなターボエンジン搭載モデルの追加など、常にクルマ好きに注目された1台でした。
●トヨタ「スプリンタートレノ」
1968年、セダンのみだったトヨタ「カローラ」を若者向けにクーペスタイルにした「カローラスプリンター」が登場。1970年に「スプリンター」としてカローラから独立すると、1972年には「セリカ1600GT」に搭載された1.6リッター直列4気筒DOHCの「2T-G型」エンジンを搭載したスポーティグレード「スプリンタートレノ」を発売します。
スプリンタートレノはカローラレビンと並び若者に大人気となり、2代目以降はフロントフェイスがカローラレビンと差別化されました。
そして4代目の「AE86型」ではカローラレビンが固定式ヘッドライト、スプリンタートレノがリトラクタブルヘッドライトと、完全に異なるデザインを採用。
搭載された新開発の1.6リッター直列4気筒DOHC16バルブの「4A-GEU型」エンジンは、当時としては高回転型で吹け上がりの良さが定評になり、軽量なFRシャシと相まって若者から絶大な人気を誇りました。
5代目では全車FFとなり、一旦AE86型の人気は下火になりますが、峠道を舞台にした走り屋コミック「頭文字D」の影響で、近年になって再評価され再び人気が出ます。
頭文字Dの主人公が乗る「スプリンタートレノ1600GT-APEX」のハッチバックがとくに人気となり、いまでは中古車市場で新車価格を上まわるケースもあるなど、かなりの高値となっています。
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サバンナRX-7から始まったリトラクタブルヘッドライトの普及は、急速に拡大しました。そして、1986年発売のトヨタ「カローラII リトラ」が、2BOXのコンパクトカーながらリトラクタブルヘッドライトを採用したほどです。
しかし、重量増や部品点数が多いことによるコスト増、北米での法規改正、また北欧やカナダなどでヘッドライトの常時点灯が義務化されたことなどにより、リトラクタブルヘッドライトは世界的に急速に減少し、国内では2002年にRX-7が生産終了となると同時に装着車が無くなりました。
公道ではメリットよりもデメリットが多くなってしまったリトラクタブルヘッドライトですが、いま見ても低いノーズのカッコ良さは健在です。
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