なぜ人気車が不人気に? トヨタ「ウィッシュ」がミニバン絶頂期のいま生き残れなかった理由とは

国内新車市場において、ミニバンは1990年代から現在に至るまで人気を維持しているボディタイプですが、常にユーザーニーズを汲んで進化を続けていて、かつて人気車種だったミニバンでも時代の流れにあわせて淘汰されることもあります。トヨタにも、16年前に販売ランキングトップ3を獲得したにも関わらず、現在は販売されていないミニバンがあるというのですが、いったいどういうことなのでしょうか。

思わぬ伏兵が登場? SUVがミニバンの代わりになる理由とは

 2019年現在、ミニバン市場では高い車高と両側スライドドアというふたつの装備を持つモデルが人気となっていますが、ミニバンが検討対象となるユーザーすべてが、高い車高&両側スライドドアを求めているとはいいきれません。

「広さ(室内高の高さ)はそれほど求めない」「ヒンジドアでも構わない」、しかし「全員分の荷物を積んだうえで家族で出かけられる使い勝手は必要」というユーザーは、果たしてどこへいってしまったのでしょうか。

 最近のユーザー動向についてトヨタの販売店スタッフに聞いたところ、次のように話します。

「ミニバンの人気は高いままです。やはり、家族で使うことを考えると一番理想に近いクルマといえます。しかし、各自動車メーカーからは、小型ボディへの需要や、多人数乗車を可能にする3列シートを期待する声など、多様化するニーズに応えられるようにさまざまなSUVが出ています。

 そうしたことから、ミニバンでなくても良いと考えるファミリーがSUVに乗り換えをするケースも増えています。とくに、トヨタでは2019年4月に発売した新型『RAV4』が20代から30代の若年層にも好評なことから、若いファミリーではSUVを購入される可能性も高いといえます」

トヨタ「RAV4」
トヨタ「RAV4」

 SUVは5名定員という車種が多いものの、荷室が広く取られていることが多いことから、家族でレジャーなどへ向かうときに便利な車種が多く存在します。

 そして、多くのSUVはアイポイントが高く設定されており、それがミニバン的な見晴らしの良い運転感覚をもたらすことも、SUVがミニバンユーザーにとって受け入れやすいボディタイプである理由のひとつです。

 さらに、前出のトヨタの販売店スタッフが指摘したように、多人数乗車が必要であれば3列シートのあるSUVを選択することもできます。

 SUVは、ミニバンと並んで新たなファミリーカーとなりつつあるといえるでしょう。

※ ※ ※

 ウィッシュは2017年に販売を終了しましたが、ウィッシュに近い特徴をもち、2000年に初代が発売されていたホンダ「ストリーム」は、ウィッシュより3年も早く2014年に販売が終了しています。

 現在、ストリームに近いホンダ車としては「ジェイド」が販売されています(ホンダはジェイドを「ミニバン」ではなく「ハッチバック/ワゴン」と定義している)。しかし、新車販売ランキングではトップ50圏外となることが多く、決して人気とはいえません。

 また、トヨタ車では、ウィッシュに近い特徴を持つモデルに「プリウスα」があり、プリウスブランドのうちのひとつとして販売されています。

 ミニバンは長い間人気のボディタイプですが、同じカテゴリに属するモデルであっても少しずつ変化しながら、よりユーザーニーズを汲むモデルへと進化しているのです。

【画像】いまでもスタイリッシュ! かつて大人気だったウィッシュとは(31枚)

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Writer: くるまのニュース編集部

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