本当に失敗作だったのか!? さまざまな理由で悲運だった迷車5選
完全にターゲットを見失ってしまったモデル
●ホンダ「CR-Xデルソル」
1992年に発売された3代目「CR-X」にあたる「CR-Xデルソル(delSol)」は、「トランストップ」と呼ばれた電動オープンルーフ(手動脱着式もあり)を備えた2シータースポーツモデルです。
上級グレードのエンジンは同時期の「シビック SiR」と同じ1.6リッター直列4気筒DOHC VTECで、最高出力は170馬力と当時のクラストップレベルを誇りました。
しかし、電動オープンルーフによる車両重量増によって、ライトウエイトスポーツだった先代までのCR-Xのイメージは薄れてしまいます。
そして、2代目まではジムカーナなどのモータースポーツで大活躍したことで、走りを重視したユーザーから人気となりましたが、3代目は後継車とは思えないほどの変わりようだったため、これまでのCR-Xユーザー敬遠されてしまいました。
デルソルはスペイン語で太陽を意味し、スイッチ操作で手軽に陽光を浴びてオープンエアドライブを楽しめるFFスポーツカーを目指たのですが、1989年に登場したユーノス「ロードスター」の人気に対抗する目的があったのかもしれません
結局、販売は不振のまま、この代をもってCR-Xは終了となります。
●トヨタ「パッソセッテ」
2003年に3列シートと両面スライドドアを備えたコンパクトミニバンのトヨタ「シエンタ」が発売されました。取り回しのよい大きさの車体と広い室内で、ファミリー層から絶大な人気を得ます。
2008年にはシエンタの後継車として、ダイハツのOEM車「パッソセッテ」(ダイハツブランドでは「ブーンルミナス」)が発売されます。しばらくパッソセッテとシエンタは併売されましたが、2010年にシエンタの販売を終了。
パッソセッテの「セッテ」とはイタリア語の「7」で、文字通り7人乗りを強調するネーミングです。
リアドアはヒンジドアを採用して装備も簡素化した結果、価格は149万円(消費税込)からと戦略的な設定でした。しかし、ユーザーからはスライドドアの利便性が求められており、パッソセッテの販売は極端に低迷してしまいます。
そこでトヨタが採った策は異例の珍事というべき、生産を終えていたシエンタの再販を決めたのです。2011年にシエンタがマイナーチェンジとして復活し、逆に2012年にはパッソセッテが販売終了となってしまいました。
その後、シエンタはコンパクトミニバンとして、いまも好調なセールスを記録する人気モデルです。
ちなみに、姉妹車のブーンルミナスもパッソセッテと同時期に販売を終了していますが、マレーシアのプロドゥア(ダイハツとの合弁会社)から「アルザ」という車名で生産され、いまも販売を継続しています。
※ ※ ※
ひとくくりに失敗作とはいえないモデルもありますが、短命であったりフルモデルチェンジすることなく消えてしまうのは、メーカーとしては大打撃でしょう。
すべてのクルマがベストセラーになるわけではないので、販売が低迷するモデルがあるのは仕方ないのかもしれません。
近年はどのメーカーも、緻密なマーケティングと企画によって大失敗はしなくなりましたが、堅実すぎるのも面白みがないと感じてしまいます。
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