なぜ開発にGOサインが出た!? 存在理由が難解すぎる車5選
クルマの開発には莫大な費用と時間が掛かります。当然、メーカーは売れるという自信を持って開発しますが、なかには「これ売れると思った?」と首をかしげてしまうクルマもあります。そこで、存在理由が難解なクルマを5車種ピックアップして紹介します。
常人では理解できないクルマがあった!?
新型車の開発には莫大な費用と時間が掛かります。企画開始からデザイン、設計と試作、実験、製造設備の構築、宣伝など、新型車が世に出るまでのプロセスは多岐にわたります。
そうして作られたクルマは、売れるという確信をもって開発されているはずですが、なかには本当に売れると思って作られたのか疑問に思ってしまうクルマもあります。
そこで、いまとなっては理解し難いほどユニークなクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
●三菱「ミラージュ ザイビクス」
1970年代中ごろから1980年代にかけて、爆発的に増えたのがFFコンパクトカーです。FFのメリットはいろいろありますが、とくに室内の広さについては定評があります。
各メーカーともFFコンパクトカーを発売するなか、1978年に三菱が発売したのが「ミラージュ」です。三菱初のFF車で、新世代のコンパクトカーとしてデビューしました。
その後、代を重ねるごとにエンジンとボディが徐々に大きくなり、1987年に登場した3代目ミラージュはミドルクラスのセダン「ギャラン」を意識したデザインのコンパクト・ハッチバック/セダンでした。
この3代目ミラージュのハッチバックモデルには「SWTIFT(スイフト)」「CYBORG(サイボーグ)」「FABIO(ファビオ)」「XYVYX(ザイビクス)」と、4タイプが設定されます。
なかでもザイビクスは2シーターで、リアサイドウインドウが鉄板で塞がれて暗窓化されており、まるで商用車のパネルバンのようで、三菱は「無限の可能性を秘めた新遊び提案車」と表現していました。
1.5リッターと1.6リッターエンジンを搭載し、どちらも5速MTのみでサスペンションが強化されるなどスポーツ路線で、実際にモータースポーツ特別仕様車が限定発売されたほどです。
オプション設定される装備もユニークで、後部の荷室でテレビが見られるキットなどがありました。
しかし、このコンセプトは一般には理解されず、デビューから1年で生産を終了します。景気が上向きだった背景から誕生した、希代の珍車です。
●日産「アベニール GT4」
日産「アベニール」は初代が1990年にデビューしたステーションワゴンです。比較的オーソドックスなスタイルのワゴンでしたが、1998年に発売された2代目では、よりスタイリッシュなデザインに変わります。
このアベニールには、「パルサーGTI-R」やS13型「シルビア」などに搭載され、名機といわれたSR20DET型エンジンと、高性能フルタイム4WDシステム「アテーサ」を組み合わせて搭載した「アベニール GT4」がラインナップされます。
アベニール GT4のSR20DET型エンジンは2リッター直列4気筒ターボで、最高出力は230馬力を誇りました。当時、日産はSR20DET型を初代アベニールや、同じくステーションワゴンの「ルネッサ」、ミニバンの「プレーリーリバティ」にも搭載するなど、高性能モデルをさまざまなジャンルで一気に拡大します。
ワゴンやミニバンに高性能エンジンと4WDという組み合わせは、ほかにはないユニークなものでしたが、トランスミッションは4速ATのみと、スポーティさでは中途半端感が否めません。
どのモデルも後に車種整理によって消滅してしまい、後継車では高性能版は設定されませんでしたから、いまとなっては貴重なモデルです。
●スズキ「X-90」
1993年の東京モーターショーのスズキブースに展示されたコンセプトカー「X-90」は、来場者から高い評価を得て2年後の1995年に市販化されました。
車名はそのままX-90としたTバールーフの2シーター車で、ベースとなったのはSUVの「エスクード」です。したがって、駆動方式はパートタイム式4WDが採用されています。
当時のエスクードは本格的な4WD車が採用するハシゴ型フレームで、このフレームを流用して新たにX-90のボディを載せた形です。
とてもユニークなスタイルで海外でも話題になり、輸出もされました。しかし、日本では2シーターSUVの市場などなく、2年ほどで販売を終了します。
コンセプトカーが高評価だったにも関わらず、実際に発売してみると売れなかったという、残念な結果になりました。いまも中古車が流通していますが、非常に数が少なく、希少な1台です。
テスト試販車でしょ。また未開拓ジャンルだと一定量売れる公算があるから、低コスト改造車として発売するんでしょ。それにしてもマークX生産中止は驚いた。