ついに80年の歴史に幕! 最後のVW「ザ・ビートル」ターボモデルはどんな走りなのか
「ザ・ビートルGTI」!? ターボモデルはスポーツカーだ
ザ・ビートルの2.0Rライン マイスターは、スポーツサスペンションを採用していることもあり、街中での走行は細かな凹凸を拾い、コツコツという突き上げ感があります。
装着しているタイヤも235/40R19サイズという大径・扁平タイヤ。路面の粗い道では、乗り心地はかなりハードです。
このモデルが活き活きとするのは、ワインディングです。今回は箱根ターンパイクでも試乗しましたが、アクセルペダルを踏むと急な上り坂をものともせず、駆け上がっていきます。こういう息継ぎのない加速感は、6速DCTによるものです。
ダウンサイジングターボ全盛のこの時代、Cセグメントとしては稀少となった2リッターターボエンジンを搭載しているのもザ・ビートル2.0Rライン マイスターのひとつのウリです。ネオクラシックな外観なので気づきにくいのですが、このモデルはスポーツカーです。誤解を恐れずにいうと「ザ・ビートルGTI」という言葉のほうがわかりやすいかもしれません。
芦ノ湖スカイラインの細かいワインディングでは、コーナリング中、スポーツサスがしっかりと踏ん張りクリアしていきます。うねりのあるコーナーでは横っ飛びするような感覚があったり、段差舗装の路面ではフリフリと細かい振動が続いたりと、たまにヤンチャな表情を見せたりもしますが、こうした個性は運転していて楽しいです。最新モデルのスポーツカーとは異なり、懐かしのスポーツ、という感じで、見た目とその走りがマッチしています。
ただし、最近のモデルでは標準装備するのが当たり前となっている、衝突被害軽減ブレーキやアクティブクルーズコントロールなどの設定がないのは残念です。
たしかに、ザ・ビートルは2012年から発売されているロングライフのモデルなのですが、同じく2012年に登場した、フォルクスワーゲンのAセグメントコンパクトカー「アップ!」には、発売当初から低速時追突回避・軽減ブレーキである「シティエマージェンシーブレーキ」が標準採用されていました。
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重箱の隅をつつくように細かく見ていくと、いいたいことはいろいろと出てきますが、それでもザ・ビートルが唯一無二の個性を持つクルマということには変わりありません。
ドイツ本国のVWから、ザ・ビートル後継モデルのアナウンスは2019年11月現在ありません。80年もの歴史を紡いできた名車の系譜が、このザ・ビートルで潰えてしまうのはなんとも寂しいことです。
ただ、2018年からおこなわれたキャンペーンのネーミングは「See You! ザ・ビートル」、つまり「またね」で、「Good Bye」(さようなら)の言葉は一言もありません。
ビートル同様にVWのアイコン的存在だった「ワーゲンバス(フォルクスワーゲン・タイプ2)」は、『I.D.Buzz』という名前のEVコンセプトカーとして現代によみがえったので、ビートルも電動化されて復活する可能性はありそうです。
そんな期待を考えながら乗った最後のザ・ビートル。VWディーラーには、少ないながらもまだ在庫があるそうなので、このカタチを気に入っている人は、早めに問い合わせてみてください。
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