あおり運転で免許停止も! ゼロにならないあおり・無免・飲酒運転の罰則事情とは
減ることのない「あおり運転」ですが、年々警察庁の主導による罰則の整備や取り締まりが強化されています。今回は、あおり運転に対しての取り締まり内容や、実際にどのような道路交通法違反に該当するかを紹介します。
あおり運転は重大事故に発展する可能性も
最近、新聞やテレビなどさまざまなメディアで報道される「あおり運転」。連日のようにあおり運転による危険性が報道されていますが、抑止力にはなっていないのが現状です。
では、実際にあおり運転などに対する取り締まり状況や処罰は、どうなっているのでしょうか。
2018年7月には、大阪府堺市の一般道で、クルマがバイクを100km/h近いスピードで執拗に追いかけたうえで故意に追突、バイクに乗っていた大学生が転倒して死亡しています。
また、2019年8月には茨城県守谷市の常磐自動車道で発生した「あおり運転ならび殴打事件」は、全国的に大きな話題を呼びました。
しかし、これらの事件以前からも、ここ数年で「あおり運転」の被害を訴える人が急増していますが、なぜ最近になって注目されているのでしょうか。
あおり運転について、警察庁は2018年1月に、取り締まりの強化を全国の警察へ通達しています。そのきっかけとなるのが、2017年6月に神奈川県内の東名高速で発生した「あおり運転」などによる悪質な行為を原因とする交通死亡事故(2人死亡)の社会的な反響を受けてのことです。
同通達では、悪質・危険な運転が関係する事案は、道路交通法違反のみならず、危険運転致死傷罪、暴行罪など「あらゆる法令を駆使して」操作を徹底させること、また、それを未然に防止するため積極的な交通指導取締りを推進することなどを指示しています。
なお、前出の堺市における「あおり運転」事故の加害者は2018年7月23日、大阪地検堺支部により殺人罪で起訴されました。
あおり運転で殺人罪が適用されることは異例であることから注目が集まったほか、埼玉県久喜市における加害者も、殺人未遂の容疑で逮捕されるなど、出来心での行為では済まないほどの社会問題にまで発展しています。
一般的にあおり運転とされる行為は、走行中に蛇行や幅寄せ、急停止などを繰り返して相手の運転行為を妨げる危険なものです。
これらの悪質で危険な行為が「有形力の行使(直接的に人を殴る・蹴るなどの暴力を用いる場合)」と認められる場合には、刑法208条の暴行罪が成立する可能性もあります。