トヨタ「ランクル70」なぜ人気? SUVモデル増加でもランクルが色褪せない理由

誕生30周年で復活したランクル70!2021年に新型モデル登場か

 70系の長い歴史のなかで、もっとも大きな変革だったのが、2007年のフェイスリフトです。それまでの丸目ヘッドライト、独立フェンダーなどを廃し、バルクヘッドから前の部分がすべて新しくしました。

 これは、4.4リッターディーゼルエンジンを搭載するスペースを確保する、前面衝突時の安全や歩行者保護性能を向上させるなど、さまざまな点からの変更でしたが、とくに丸目ヘッドランプから角目の異形ヘッドランプに変わったのはファンから不評を買いました。しかしこれも、配光パターンを変えて夜間の視認性を向上させるためには仕方がないことだったのです。

 日本の70系好きは市場に出回る中古車を高額で購入したり、海外からの並行輸入車を購入するしかありませんでしたが、2014年の70系誕生30周年記念を機に、1年間の限定販売で国内復活を果たしました。

トヨタ「ランドクルーザー(70系)」(AU仕様 トゥループキャリア)
トヨタ「ランドクルーザー(70系)」(AU仕様 トゥループキャリア)

 販売されたのは、セミロングのバンとダブルキャブのピックアップトラックの2タイプ。2015年7月から施行された新保安基準に適合しないという理由からの期間限定販売、さらに排ガス規制の点から4リッターV型6気筒ガソリンエンジン車のみでしたが、多くのファンや官公庁が飛びつきました。ただし、1ナンバーゆえに毎年車検であること、ガソリンエンジン(ハイオクガソリン推奨)の燃費が悪いこと、5速MTの設定のみなど、一般ユーザーには敷居の高いモデルでもありました。

 それでも70系の人気は不変で、海外では絶大な支持を経ています。世のオフロード4WDがSUV化し、上位モデルの200系さえも電子制御の塊のようなクルマになってしまっているいまでも、70系だけは昔ながらのメカニズムと踏襲しているからです。

 エンジンこそ電子制御化されていますが、堅固なラダーフレーム構造とリジッドアクスル式サスペンションは、いまも昔ながらの構造で、パワートレインもシンプルです。こうした構造は、使い方が荒い反面、十分な部品ストックやメンテ設備が整っていない僻地でこそ、真価を発揮します。

 一時期、戦闘地帯で某組織が70系を使っている映像がよくTVで流れましたが、それは「壊れない」「壊れても修理がたやすい」という70系の素性ゆえです。戦争という究極のシチュエーションにおいても、絶対的な信頼性を確保している70系の、プロダクツとしての優秀さを表しているといえるのではないでしょうか。

 2021年はランドクルーザー誕生70周年。その年の前後に、ディーゼルエンジンを搭載した70系が国内で復活するという噂も伝わってきていますが、もしこれが本当であれば、再び日本が「ランクル祭り」になることは必至でしょう。

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Writer: 山崎友貴

自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。

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