なぜ小型ミニバンの人気急上昇!? トヨタ「シエンタ」がアクアを抑えて新たな定番車種になった理由
背の高いコンパクトカー「ルーミー」が人気の理由とは?
トヨタでシエンタとともに販売好調なのが、「ルーミー」です。ルーミーは背の高いコンパクトカーで、全長は3700mmと短いですが、全高は1700mmを上まわり、広い室内空間を備えています。
後席側のドアはミニバンのようなスライド式なので、乗り降りもしやすいです。
2019年4月から9月のルーミーの登録台数を見ると、1か月平均が約8200台で、前年に比べて11%増えました。姉妹車の「タンク」も1か月平均で6600台登録され、前年比で7%ほど増加しています。両車を合計すると1万4800台ですから、シエンタなどを超える売れ行きです。
なお、ルーミーとタンクはダイハツからOEM提供を受けており、ダイハツでは「トール」、スバルでは「ジャスティ」として販売されています。
ルーミーとタンクの発売は2016年11月で、現時点で改良は受けていません。それなのに1か月平均の登録推移は、ルーミーで見ると2017年が約6500台、2018年は7200台、さらに2019年4月から9月の月平均は8200台という具合に、発売から時間を経過するほどに伸びています。
ルーミーやタンクが人気を高めた理由について、販売店スタッフは次のように話します。
「以前は、トヨタ車から軽自動車に乗り替えるお客さまが多かったのですが、いまはルーミーがあるので、こちらを購入されています。また、『パッソ』の需要が少し下がり、ルーミーが増えた面もあります」
ルーミーは軽自動車にダウンサイジングする需要を受け止めて、トヨタ車のユーザーが流出するのを防いでいます。
トヨタ「ポルテ/スペイド」の販売低迷も影響しているでしょう。この2車種も背の高いコンパクトカーですが、1か月の登録台数は200台から300台にとどまります。ルーミー/タンクはポルテ/スペイドに比べると設計が新しく、価格も割安なので需要が移りました。
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シエンタとルーミーは、複数の理由で売れ行きを伸ばしました。とくに注目されるのは、「街中で見慣れることによって一層好調に売れる」という、実用指向の車種に見られる傾向が影響しているという点です。
多くのユーザーに使われているということが、優れた商品の証になり、相乗効果として販売台数を押し上げました。
定番の人気車種への仲間入りができると、その後の安定的な売れ行きも約束されるといえます。逆に街中で見かける頻度が少ないと、売れ行きも伸び悩みます。
いかに好調に売れる波に乗れるかが、明暗を分けるのです。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
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