いつ押すべき? 多すぎるクルマの「スイッチ」 メーカーごとに名称が違う理由とは
クルマが年々多機能になっていくなかで、車内のスイッチも増えています。運転初心者にとっては、慣れない操作を増やす原因となり混乱も招きかねない状況ですが、いったいそれぞれのスイッチはどんな意味を持つのでしょうか。
多機能すぎる最近のクルマ、じつは各機能の名称も違う?
クルマの装備や機能は日々進化を続けていますが、それと比例して増えているのが、乗員が操作する各機能のスイッチです。なかには「内装で一度も触ったことがないスイッチがある」という人もいるかもしれません。
それぞれのスイッチは、どのような意味を持っているのでしょうか。
クルマのスイッチには、近年普及が進んでいる先進装備のスイッチと、以前から広く普及している装備のスイッチがあります。
徐々に装備の数が多くなったことで、設置場所の確保が難しくなる場合もあり、ハンドルだけでも左右あわせて10個前後スイッチがついているクルマも珍しくなくなりました。ほかにも、車内にはさまざまなスイッチが装着されています。
近年のクルマで一般的となっている装備が「横滑り防止装置」で、基本は常時オンとなっており、車内にはこの機能をオフにできるスイッチが装着されています。この装備は、滑りやすい路面でコーナーを走行するときに、エンジン出力やブレーキ圧を制御して横滑りを抑える機能です。
普段の走行時には常時オンにすることが推奨されますが、なぜオフにできるスイッチが装備されているかというと、ぬかるみや雪道にはまったときに、タイヤの空転をクルマが誤って検知してしまうため、脱出が阻害されるからです。
日常生活では触れる必要のないスイッチですが、万が一のときのために、位置や機能の意味を理解する必要があるといえるでしょう。スイッチには、クルマが滑っているような絵と“OFF”と記載されていることが多いです。
また、車線逸脱警報も徐々に普及が進んでいる装備で、車体が道路の白線からはみ出していると、クルマが警告を発したり、正しい進路へ戻すハンドル支援をおこなう機能を指します。
この装備にも、警告をうるさく感じる人のためにオン/オフのスイッチが存在していて、クルマが道路の白線からはみ出している絵が描かれていることが多いです。
また、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)などに関するスイッチもあります。これは、クルマがぶつかりそうになっている絵が描かれたスイッチの場合が多く存在します。
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これらの装備(スイッチ)は、じつはメーカーによって名称がバラバラになっています。
横滑り防止装置の場合、トヨタは「VSC(ビークルスタビリティコントロール)」、ホンダは「VSA(ビークルスタビリティアシスト)」、日産は「VDC(ビークルダイナミクスコントロール)」 と呼びます。
車線逸脱警報や衝突被害軽減ブレーキに関しても各社異なっている状況です。なぜ名称がメーカーによって異なるのでしょうか。国内自動車メーカーの広報担当者は次のように話します。
「名称がバラバラな理由には、法整備されたタイミングや各社の機能内容があります。商標登録上の問題も多いです。
2016年12月に国土交通省は、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全自動車(ASV)装置について、共通定義や名称を統一するという通達を出しています。ユーザーからすれば名称ぐらいは統一してほしいと思いますが、なかなか難しい問題でもあります」
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2019年現在、衝突被害軽減ブレーキに関しては国土交通省や経済産業省などがおこなう「サポカー」や、国土交通省による「衝突被害軽減ブレーキ認定制度」などで定義の統一が図られています。
名称の統一についても、ABS(アンチブロックブレーキシステム)が、名称がバラバラだった状況から1990年代に名称が統一された経緯もあることから、将来的にはほかの装備でも統一される可能性はゼロとはいえません。
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