需要があった? トヨタ 新型「カローラ」にMT仕様を用意せざるを得なかった本当の理由とは
MT仕様を作らざるを得ない理由とは
国内市場において、カローラはわずかなMT需要を満たす受け皿的なモデルとなっているとのことですが、それに加えて、さらにシビアな理由もそこにはあるようです。前述の関係者は次のようにいいます。

「新型カローラで採用されるiMTはトヨタとアイシン・エーアイ(現アイシン・エイ・ダブリュ)が共同開発し、アイシン側で生産されています。新型カローラと同型のトランスミッションは、海外で販売されているRAV4にも使用されています。
ただ、北米市場を主戦場としているRAV4ですが、北米市場全体のMT比率も2%未満であり、市場規模の大きさを考慮してもアイシンの生産余力の範囲内です。
基本的に、製造業は大量生産することで製品ひとつあたりの単価を下げることができます。カローラのようなモデルであればとくに価格が競争力を大きく左右するので、トランスミッションひとつとってもコストを削減させたいものです。そこで、アイシンの工場稼働率を最適化すべき大量のMTを生産する必要があったと思われます。
そのためには、海外で販売されているカローラやRAV4のMT仕様、そして国内で販売されるカローラのMT仕様すべてを同型のトランスミッションで対応し、大量生産によるコスト低減を図ることで、全体のメリットにつなげたのでしょう。
見方を変えると、『操る喜びを感じてほしい』というだけの理由でカローラにMTを設定したとしたら、ビジネス的には成立するはずがありません。
スポーティなイメージを付けることで顧客層の若返りを図りたいというトヨタ側の思惑もあると思いますが、ロジックとしては『スポーティなイメージをつけたいからMT仕様車を設定した』のではなく『MT仕様車を設定せざるを得なかったから、スポーティなイメージのマーケティングをしている』という方が正しいかもしれません」
※ ※ ※
スポーティなイメージがあるMT仕様車ですが、メーカー側からすれば設定せざるを得ないという事情もあるようです。
とはいえ、MT仕様車の設定が増えることはユーザーにとっても選択肢が増えることでもあるので、そこにはWin-Winの関係が成立しているといえるかもしれません。
Writer: Peacock Blue K.K.
東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。






































