無限 シビックタイプRはモータースポーツから得た技術をフィードバックした本気仕様!

無限シビックタイプRはノーマルにはない軽い身のこなしが特徴

 実際に無限シビックタイプRを走らせてみると、その動きはノーマル車よりも軽やかな身のこなしが印象的です。ノーマルはがっしりとしたボディ剛性と重厚感があるのに対し、無限シビックタイプRにはその上で軽快な操作性が加わっているのです。これは主に軽量化がハンドリングに効果を示しているのだと思います。

無限 シビックタイプR
無限 シビックタイプR

 シビックタイプRはニュルブルクリンクのような高荷重領域で真価を発揮するマシンであり、今回のようにタイトなコースでは本来ならばその旨みは引き出せないと思っていました。
 
 しかし回り込んだ複合コーナーでもきっちりと曲がり、若干進入速度が高い1コーナーなどでは、旋回時にリアを絶妙に追従させながら向きを変えるモーションが体験できたのです。これを本格的にサーキットで走らせれば、ノーマルのサスペンションながらきっちりと向きを変える理想的な挙動が得られそうな感触でした。

 こうしたアンダーステアの抑制は、前後にインセット53/45と、異径サイズのホイールを与えていることも関係しています。
 
 また無限が新たに手を加えたシフトレバーも秀逸でした。ノーマルシビックのシフトはやや大ぶりで、サーキットなどの限界走行時では若干操作がためらわれる印象だったのですが、無限仕様はいたってスムーズ。

 聞けば純正シフトは「日本人の体格に合わない部分もあった」とのことで、これを無限はドライバーよりに14mmオフセット。6%のショートストローク化を図り、リターンスプリングも17%強化したというのです。

 これならば確かに、重量増となるDCT(デュアルクラッチトランスミッション)がなくても、ギクシャク感なくハイスピード領域でシフトを操作できそうです。ショートストロークシフト特有の扱いにくさもなく、ほぼ無意識にヒール&トゥをこなすことができました。

 見た目意外に機能的な派手さはなくとも、ワークスならではのじつに細かなチューニングを無限はおこなっていました。アマチュアが扱うには十分以上のスピードを持つシビックタイプRに、こうした操作性の良さを与えることは、チューニングメーカーとしてとても重要なことであり、地味な部分ではありますが速さに直結する部分なのです。

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Writer: 山田弘樹(モータージャーナリスト)

自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。レース活動の経験を活かし、モータージャーナリストとして執筆中。並行してスーパーGTなどのレースレポートや、ドライビングスクールでの講師も行う。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

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