災害時はクルマに避難も有効? 停電でも電気が使える活用法とは
最近は未曾有の自然災害が日本を連続的に襲っています。そんな状況のなか、生活インフラの一部として、その重要性が改めて着目されているのがクルマです。災害に強く、避難生活において活用できるクルマの活用法とは、どのようなものがあるのでしょうか。
災害時にはマイカーは重要な避難場所?
台風や地震などの災害時、電柱などの破損や倒壊によって停電被害に遭う可能性があります。現代社会では、重要なライフラインとなっている電気が止まってしまうことで、甚大な被害に繋がり最悪の場合、命に危険が及ぶこともあるのです。
万が一、停電被害に遭った場合はどのような対処方法があるのでしょうか。
2019年9月9日、関東では過去最大クラスの勢力となった台風15号の影響によって、千葉県を中心に停電や断水など大きな被害がでました。
台風通過後の数日間は「台風一過」の影響と台風がもたらした熱帯の空気が日本列島を覆ったことで、気温が一気に上昇し、熱中症などの被害も多かったとされています。
停電により電気が使えなくなった場合、さまざまな対応方法がありますが、クルマへの避難が有効とされています。今回は、停電などの災害時に知っておきたいマイカー活用法を紹介します。
クルマに避難する理由として、「空調設備」が使えることが大きなメリットとなり、台風は夏に上陸することが多いため、暑さ対策は非常に重要です。
米国科学誌で発表された研究では、「65歳以上高齢者の場合では、気温が1度上昇すると慢性疾患による死亡率が2.8%から4.0%上昇する」という結果がでており、1度の変化さえ命取りになる可能性があることから、停電でエアコンが使えないという際は、クルマの空調を活用するのが有効となります。
また、災害時には「情報の確保」も重要です。具体的には、車載ラジオが使用できるほか、スマートフォンやパソコンの充電が可能となり、インターネットに継続的に接続できます。
カーナビに搭載されたテレビも情報ツールではありますが、台風の最中では、電波の受信が難しいといわれているため、比較的安定したラジオや、スマートフォンやパソコンから情報を得るのが得策です。
さらに、最近のEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)、HV(ハイブリッド車)には、1500Wまでの電気製品が使えるACコンセントが装備されている車種が増え、約1200Wを必要とする電気ケトルも使用できるため、緊急時には活躍します。ただし、製品によっては、インバーターが必要な場合もあるため、車内に常備しておくことが推奨されます。
ACコンセントがない車種などでは、シガーソケットから電源を確保しますが、一般的に出力は約200Wです。そのため、膨大な電力を消費する製品が使えないので、最近では「シガーソケット専用のケトル」や「シガーソケット専用フライパン」、「シガーソケット炊飯器」などの専用製品が登場しているようです。
緊急時の避難場所としては、クルマはメリットが多く比較的安全な場所とされていますが、長い間クルマを使用していると、ガス欠やバッテリー上がりなどが起きる可能性も高くなり、必要時の移動に支障をきたします。
前述の台風15号により、千葉県の1週間以上停電が続いた地域の役所職員は以下のように話します。
「バッテリー上がりやガス欠を起こし、自宅から動けないという連絡が何件かありました。そのなかには、停電後はずっと車内にいたという人もいたようです。幸い、今回は近隣住民や職員の協力で避難所まで移動できましたが、いつもこう上手くはいかないです。
今回は、台風翌日の気温が高かったため、クルマは避難場所として効果的だったのは確かですが、あくまで移動できる余力を残すように注意が必要だと思います」