SUVブームが終わる? 新型車ラッシュでも既存車種の売上が低迷している理由

最近のSUV市場は、新型車ラッシュが続いています。しかし、これまで売上が好調だったトヨタ「C-HR」やホンダ「ヴェゼル」の人気に陰りが見えているようです。この先の国内SUV市場はどうなるのでしょうか。

SUV市場に黄色信号? この先のSUV市場はどうなる?

 最近はSUVの人気が高いです。軽自動車やミニバンは、国内向けのカテゴリーですが、SUVは海外でも好調に販売できるために国内自動車メーカーは車種数を増やしました。

 その国内SUV市場に変化が見られているといいますが、この先のSUVジャンルはどうなるのでしょうか。

SUV王者トヨタ「C-HR」から首位を奪還した「RAV4」
SUV王者トヨタ「C-HR」から首位を奪還した「RAV4」

 トヨタ「RAV4」やホンダ「CR-V」のように、国内販売を一度終了した車種が、復活するケースもあります。海外向けの車種になって売れ行きが下がり、国内から撤退しながら、SUVの人気に乗じて販売を再開したのです。今はクルマの売れ行きが海外でも伸び悩んでいるので、SUVのカテゴリーに各メーカーが群がっています。

 問題はSUVの販売状況です。最近は以前と違って下降傾向が見られます。直近となる2019年6月から8月の小型/普通乗用車販売ランキングを見ると、SUVジャンルで1位のRAV4はトヨタ「ヴォクシー」やホンダ「フリード」と同等の販売実績で、上位10番手あたりに位置しています。

 SUVジャンル2位のホンダ「ヴェゼル」は14番から20番手で、人気に陰りが見えています。それでも対前年比は90%から100%なので、登場が2013年にさかのぼることを考えると、息の長い人気を保っています。

 注目したいのは3位のトヨタ「C-HR」です。発売直後の2017年1年から6月には、1か月平均で1万3000台以上を登録しました。当時の小型/普通乗用車販売ランキングでも、トヨタ「プリウス」と日産「ノート」に続いて3位に入っています。

 ところが2017年の後半から売れ行きが下がり始め、2018年1月から6月には、1か月平均の登録台数が6800台。約1年で半分近くまで下がっています。2019年1年から6月の1か月平均は5400台ですから、2年前の約40%です。

 新車として発売された後、時間が経過して登録台数が下がるのは当然ですが、C-HRは下がり方が大きいです。2016年12月に登場したときは、大いに注目されてSUVの販売1位になりましたが、2019年には、2013年にデビューした設計の古いヴェゼルに抜かれています。2019年4月にはRAV4が加わり、5月以降はRAV4がSUVの1位になりました。そうなるとヴェゼルは2位、C-HRは3位です。

 C-HRの売れ行きが下がった背景には、複数の理由があります。まずC-HRの外観が個性的で、趣味性の強い商品であることです。ユーザーの購買意欲を刺激して「今すぐに欲しい!」と思わせるため、ユーザーは愛車の車検期間が残っていても乗り替えます。そのために発売直後は売れ行きが急増しましたが、欲しい人達に行きわたると急落するのです。このような売れ方は、以前のスポーツカーにも見られました。

 逆にホンダ「フィット」やスズキ「ワゴンR」のような実用的な車種は、「今スグに欲しい!」とは思わせません。従って売れ行きが一気に伸びることもありませんが、愛車の車検期間が到来した段階で、順次乗り替えていきます。価格を含めた商品力が優れていれば、後々まで堅調に売れ続けます。

 C-HRの人気については、同じトヨタからRAV4が発売され、顧客を奪われた影響もあるでしょう。両車の販売状況について、トヨタの販売店は次のように話します。

「C-HRとRAV4では車種の性格が異なりますが、選択に迷うお客様もおられます。ファミリーカーとして使う場合、後席の広いRAV4を選ばれます。そのかわりC-HRは価格が30万円ほど安く、1名から2名の乗車に適しています」

※ ※ ※

 後席を使う需要が、C-HRからRAV4に流れたことはあるでしょう。このようにSUVの人気が高くても、車種を増やした分だけ売れ行きが伸びるわけではありません。喰い合いが生じます。

 そしてSUV全体の売れ行きを2019年8月の対前年比で見ると、減少した車種が目立ちます。C-HR(-40.6%)、減少した車種が目立ちます。C-HRは40.6%、ヴェゼルは3.3%、スバル「フォレスター」は1.8%、日産「エクストレイル」は29.9%、マツダ「CX-5」は2.4%のマイナスです。SUVは売れ筋のカテゴリーですが、鮮度の高い伸び盛りの時期は過ぎたといえるでしょう。

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