2億円の値札も! 欧州でヒストリックカーの価格が高騰している理由とは

世界有数のチューニングメーカーも本格参入

 そうしたヒストリックカーブームの火付け役のひとつが、ドイツのブラバスです。

 ブラバスといえば、1990年代にメルセデスのチューニングカーの販売で一世を風靡しました。ブラバス、ロリンザー、カールソンが御三家を呼ばれ、日本でも東京の六本木や大阪の新地あたりでは黒塗りのブラバスが数多く走っていたものです。

 筆者(桃田健史)は当時、これら御三家のドイツ本社を頻繁に訪れ、自動車雑誌向けなどの取材をし、彼らの経営実態を詳しく見てきました。

 そうしたなかで、2000年代半ば頃になると、富裕層はチューニングメルセデス・ベンツからベントレー、ロールスロイス、アストンマーティンなど、より価格の高いブランドに移行する傾向が高まりました。

フランクフルトモーターショー2019で展示されていたメルセデス・ベンツのヒストリックカー
フランクフルトモーターショー2019で展示されていたメルセデス・ベンツのヒストリックカー

 また、ダイムラーとしてもチューニングブランドAMGを自社に吸収した後、ブラバスなど社外チューナーを凌ぐような大出力・大トルクの量産車を打ち出すようになったのです。

 インテリアについても、ダイムラー本社が徹底したカスタマイズに対応するようになり、ブラバスのビジネスに少なからず影響が出ました。

 このような市場変化のなかでブラバスは、メルセデスチューナーとしてはいち早く、ヒストリックカーのレストア事業を始めました。

 レストアといっても、古いエンジンをそのまま修理するだけではなく、最新型エンジンに積み替えることも可能です。こうしたベース車を改造するという手法は「1990年代のハイパワーチューニングに通じるものがある」(ブラバス本社関係者)といいます。
 
 今回の取材中も、中近東やインドからブラバスのヒストリックカーの商談に来た人たちを見かけました。ブラバス幹部がつきっきりで、技術的な説明をしていましたが、どうやら商談は無事まとまったようです。

 ブラバスによると、最近の売れ筋は「280SL パコダ」(約3000万円)と「280SE 3.5カブリオレ」(約7000万円)。日本からの引き合いもあるといいます。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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