奇想天外なのか機能美か!? いまは逆に作れない? 超個性的な名車5選

デザインはクルマの優劣を決める需要な要素のひとつです。各メーカーは他車にはない個性を求めていますが、昔のクルマはいまよりも個性的なクルマが多数存在していました。そこで、かつて作られた非常にユニークなデザインのクルマを5車種ピックアップして紹介します。

見た目優先か機能優先か、ユニークなデザインのクルマたち

 クルマの販売台数を左右する重要な要素に外観のデザインがあります。実際、各メーカーはデザインを決定するために莫大な時間とお金をかけています。

まさに個性のカタマリといっていい「スポーツ800」
まさに個性のカタマリといっていい「スポーツ800」

 デザインは見た目だけではなく、機能や室内空間、生産性などを考慮する必要があるので、非常に難しい作業になります。

 しかし、かつては見た目を優先したようなデザインや、機能を優先したデザインのクルマが多く存在しました。

 そこで、1960年代から1970年代にかけて発売された、非常にユニークなデザインのクルマを5車種ピックアップして紹介します。

●トヨタ「スポーツ800」

空力性能という機能美がある「スポーツ800」
空力性能という機能美がある「スポーツ800」

 トヨタは、大衆車「パブリカ」のコンポーネンツを流用して、超軽量構造と空気抵抗低減を実現した2シータータルガトップクーペの「スポーツ800」を、1965年に発売しました。

 スポーツ800のデザインは、1962年の「全日本自動車ショー」に出展され好評を博したコンセプトカーの「パブリカスポーツ」をベースにしています。

 車体の各部を曲面としており、スポーツカーとして精悍な印象よりも、丸みを帯びたかわいいイメージです。

 エンジンは0.8リッター空冷水平対向2気筒OHVで、最高出力45馬力と非力でしたが、580kgという軽量な車体には十分なパワーでした。

 実際にレースの世界では、パワーで勝るホンダ「S600」がライバルとされていましたが、軽量なボディと、戦闘機開発の技術を応用したといわれる空力特性で、Sシリーズと対等以上の走りを実現していました。

●日産「チェリー」

明らかにデザインを優先させていた「チェリー」
明らかにデザインを優先させていた「チェリー」

 日産「チェリー」は、1970年に同初のFF車としてデビュー。車名の「チェリー」は、日本らしさを訴求するため「桜」から命名されました。

 当時の小型車は世界的にFRからFFへの移行が始まりつつあり、小さなボディサイズでも広い室内を確保できるというメリットがありました。

 発売当初のボディバリエーションは2ドアと4ドアセダンでしたが、1971年9月にはスポーティな「チェリークーペ」が加わります。

 なかでも上位グレードである「X-1R」は「スカイラインGT-R」をイメージさせるオーバーフェンダーを装備し、1.2リッター直列4気筒OHVの「A12型」エンジンを搭載。ツインキャブ仕様で最高出力80馬力を発揮しました。

 チェリークーペは斬新なハッチバックスタイルで、斜め後方の視界を度外視したリアサイドが特徴的です。このスタイルは当時の若者たちを魅了し、チェリークーペは大人気となりました。

●三菱「デボネア」

和風な重厚感あるデザインの「デボネア」
和風な重厚感あるデザインの「デボネア」

 三菱「デボネア」は1964年に初代が発売された、同社の最上級セダンです。

 デボネア最大の特徴は外観のデザインですが、同時期のアメリカ車をイメージさせつつも、日本の神社仏閣を思わせるような重厚な雰囲気があります。

 一見、大きなクルマに見えますが、実際のサイズは全長4670mm、全幅1690mmと5ナンバー枠に収まる寸法で、発売当初は2リッター直列4気筒エンジンを搭載(後に2.6リッターに変更)していたこともあり、5ナンバー車となっていました。

 デボネアのライバルはトヨタ「クラウン」や日産「セドリック/グロリア」でしたが、販売面では両車に大きく引き離される状況でした。

 しかし、1986年まで大きなモデルチェンジすることなく生産され、超ロングセラーモデルとなります。

 デボネアは「走るシーラカンス」と呼ばれ、生産終了後は現代に蘇ったクラシックカーとして再評価されるなど、中古車人気が高くなったことがあります。

 販売台数が少なかったこともあり現存数はわずかで、いまでは非常に希少なクルマとなっています。

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