クルマ業界に起きた異変 10年前のリーマンショックが国産メーカーに与えた影響の実態とは

2009年は歴史に名を残すクルマが多かった? どんな車種が登場したのか

 一方、この時期に登場した新型車のなかには、先進的なモデルが数多くありました。

ホンダ2代目インサイト
ホンダ2代目インサイト

 豊田氏の社長就任会見の前月にあたる2009年5月、トヨタは主力ハイブリッド車「プリウス」をフルモデルチェンジして、3代目となる新型を発表しました。

 3代目プリウスは新たに開発したハイブリッドシステム「リダクション機構付THS-II」を搭載し、当時として世界トップとなる燃費性能38.0km/L、1kmあたりのCO2排出量換算値は61g/kmを実現します。

 登場以降、3代目プリウスの人気は沸騰し、国内新車販売でトップに立ちます。2009年暦年新車販売でも、軽自動車のスズキ「ワゴンR」(20万1528台)を僅差でかわす20万8876台を販売して、首位を獲得しました。

 2009年10月にトヨタが発表した新型プリウスの納期見込みでは、同年10月21日以降の受注分について、翌年(2010年)5月以降の工場出荷となるとしていました。発注して納車まで半年待ちの人気モデルとなったのです。

 この2009年には、ホンダもハイブリッド専用車の2ドアクーペであった「インサイト」を、4ドアハッチバックに趣旨替えして同年2月に復活させたほか、レクサスでは初のハイブリッド専用車として「HS250h」が同年7月に登場しています。

 また、三菱は2009年6月、軽自動車「i(アイ)」をベースに電気自動車(EV)である「i-MiEV(アイミーブ)」を発売しました。リチウムイオン電池を駆動用に搭載し、最高出力64馬力/最大トルク180Nmのモーターで後輪を駆動します。10・15モードの航続距離は160kmとされました。

 エコカー減税も開始され、環境性能の高さが商売に繋がる時代になったのです。

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 リーマンショックは、2009年10月24日から開催された「東京モーターショー」にも大きな影響を与えました。米ビッグスリーの不参加はいうまでもありません。加えて英国やイタリアメーカーの多くが出展を取りやめ、ドイツのフォルクスワーゲンも不参加となりました。

 しかし、国内自動車メーカーは注目度の高いモデルを出展していて、とくに期待が高まったのは、ワールドプレミアとなったトヨタ「FT-86 Concept」でした。

 スバルと共同開発したこのモデルは、クルマ本来の運転する楽しさを提案する小型FRスポーツのコンセプトモデルで、スバルが開発した2リッター水平対向4気筒NAエンジンと、空力に優れた軽量ボディを持つクルマでした。

 また、日産は銀座から横浜へ本社を移転した新グローバル本社竣工式に合わせて、電気自動車の「リーフ」を発表、2009年の東京モーターショーで一般公開しています。

 2009年に自動車業界を襲った困難に対し、国内メーカーは意地ともいえる底力を見せたのです。2019年現在も人気車種となっている「プリウス」をはじめ、その時の自動車メーカーの奮闘は、いまへと続いているといえます。

トヨタ「プリウス」に未発売の「コンセプト」が存在!? 写真で見る(30枚)

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