昔のクルマは愛称があった? ケンメリ、てんとう虫、ダルマ… 懐かしき名車とはどんなクルマ?

戦後の国民車となった「てんとう虫」やお尻が愛称の由来になったクルマとは?

 世界のクルマにおいて、愛称で呼ばれたもっとも有名なクルマといえば、フォルクスワーゲン「ビートル」です。もともとは、「フォルクスワーゲン1200」「フォルクスワーゲン1300」「フォルクスワーゲン1303S」「フォルクスワーゲン1303LS」といったクルマを総称してビートルと呼ばれていました。

 ビートルは、おもにアメリカにおける愛称で、本国ドイツでは同じカブト虫の意味で「ケーファー」と呼ばれていました。

 アメリカでは「Type I」という車名で販売されると、合理性を重んじる知的階層にも愛用されたほか、ヒッピームーブメントを象徴するモデルにもなりました。

 その後、1998年に新世代となったこのモデルは、車名を愛称と同じ「ビートル」(正確にはニュービートル)に変え、2011年からは「ザ・ビートル」と変更しています。

 ビートルに対して、日本では1958年に富士重工業(現:スバル)が発売した超軽量軽自動車「スバル360」が発売されます。

てんとう虫の愛称で親しまれたスバル「360」
てんとう虫の愛称で親しまれたスバル「360」

 スバル360は、空冷のリアエンジン式、トーションバースプリングだけでなく、ビートルに比べ小さいながらも、そのスタイルが似ていたことから、「かぶと虫」との対比で「てんとう虫」と呼ばれ人気となります。

 スバル360の開発指揮を執った設計課長の百瀬晋六氏が掲げた開発コンセプトは、「大人4人がゆったり乗れ、小型乗用車に負けないクルマ」です。

 目標値は当時のバス以上の加速力、登坂性能もバスと同等、15馬力以上のエンジンを積み、車重は350kg以下、そして悪路でも60km/h以上で走れる操縦安定性を持たせるという内容で、小さな日本の国民車「てんとう虫」はヒットします。

 また、変わった愛称が付いたモデルとして、1972年に登場した2代目の日産「ローレル」(C130型)があります。プラットフォームはケンメリと共通でしたが、ユーザーからは「ブタケツ」という愛称で呼ばれました。

 その理由は定かではありませんが、リアコンビネーションランプがすべてリアバンパーにビルトインされた、特徴的なリアスタイルからだとされます。

※ ※ ※

 一方、自動車メーカー自ら愛称を付ける例もあります。ホンダ「シビック」には、2代目のスーパーシビック以降、3代目ワンダーシビック、4代目グランドシビック、5代目スポーツシビック、6代目ミラクルシビック、7代目スマートシビックという愛称が付けられ、広告などのキャッチコピーで使われていました。

 クルマが愛称で呼ばれることが多かったのは、昭和の時代が多かったようです。一部のモデルに限られますが、愛称が付くというのは、それだけそのクルマが特徴を持っていたともいえそうです。

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