最近自動車カタログで見かける「WLTCモード燃費」って何? JC08モードとどう違う?

2019年8月に発売された軽自動車、ホンダ「N-WGN」。G(FF)グレードの場合、JC08モード燃費は29.0km/L、WLTCモードの場合は23.2km/Lとなる。
2019年8月に発売された軽自動車、ホンダ「N-WGN」。G(FF)グレードの場合、JC08モード燃費は29.0km/L、WLTCモードの場合は23.2km/Lとなる。

JC08モードに比べてWLTCモードの方が、燃費が低く出やすい理由

 ここで気になるのは、JC08モードとWLTCモードとの燃費の違いです。

 JC08モード試験では平均車速が24.41km/hなのに対し、WLTCモードは36.39km/hから36.57km/h(ほぼすべての日本車が該当するクラス3aおよび3b、以下同)で、最高速度も81.6km/hと97.4km/hと、いずれもWLTCモードのほうがより高速になっています。

 またアイドリング時間は29.7%と15.4%となり、JC08モードでは全体の75%で暖機済みの状態で試験を行いますが、WLTCモードの試験はすべてエンジンが冷えたコールドスタートとなります。

 重量についても、JC08モードは乗員2名分、110kgを車両重量に加えて試験しますが、WLTCモードでは乗員とみなす100kgのほか、積載可能重量に一定の積載率を掛けた重量も搭載するため、一般的にはJC08モードよりも重い状態での試験となります。つまり、より厳しい条件での試験となるため、WLTCモードでの燃費はJC08モードよりも低くなりやすいのです。

 この差については、経済産業省、国土交通省、日本自動車工業会も認めており、他車と比較する場合は「JC08モード同士、WLTCモード同士での比較」をアナウンスしています。

 このようにWLTCモードの導入で、より実態に近くなったクルマの燃費表示ですが、じつは日本ではJC08以前にもいくつかの計測方法の変遷を経ています。もっとも古くは60km/hの一定速度で走った場合の燃費を表す「60km/h定地燃費」で、ストップ&ゴーを繰り返す実用燃費とはかけ離れた数値となっていました。

 これをより実用に近いものにしようと1973年に導入されたのが、「10モード燃費」で、10の運転モードにより計測されたことが、命名の由来となりました。

 この10モード燃費は1991年に「10・15モード燃費」へと発展、その後、より走行実態に合わせた計測方法として、JC08が登場します。つまり燃費表示の歴史は、「わかりやすさ」「実用性」を目指し進化を続けてきたのです。

 さて、世界統一表示を目指し導入されたWLTCですが、各国のクルマの燃費をだれでも横並びで比べられるようになるには、まだまだ時間がかかりそうです。欧州ではWLTCの導入が進みつつありますが、燃費は「100kmあたりリッター」で表記されることが一般的で、日本人にとってややわかりにくくなっています。

 一方、自動車大国アメリカは、連邦環境保護局(EPA)が公表するMPG(ガロンあたり走行マイル)を数値にとる「EPA燃費」が広く浸透していること、州ごとに異なる自動車規制が存在すること、さらにトランプ大統領が自動車の燃費規制に消極的であることなどから、WLTCへの移行がスムーズに進むとは考えづらい状況です。

 ただ「日本でクルマを購入する」というシーンに限っては、利用環境ごとの燃費もわかるWLTCは非常に役立つことは間違いありません。積極的に活用したいですね。

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