S2000やカプチーノが登場!「頭文字D」のホットな名車5選-3rdステージ
コミック作品の「頭文字D」はクルマのパワーが峠での速さを決めるのではなく、運転技術や状況に応じた的確な判断力が重要だということを教えてくれる作品です。そのなかでもとくに重要なことを教えてくれたドライバーとクルマを紹介します。
クセのあるドライバーやクルマも多数登場する面白さがある
走り屋からの支持が厚い漫画といえば「頭文字D」です。単にクルマの性能の優劣が勝敗を決するわけではなく、運転技術、そしてなによりも状況に応じた的確な判断力が重要だということを教えてくれる「奥の深さ」が魅力です。
加えて、さまざまなクルマが登場するのはもちろんですが、そのクルマのオーナーの考え方や走り方に応じたチューニングが施されており、それぞれの得意とする「ステージ」に合わせた走り方を見せるなど、実際にクルマを運転する人たちにとって共感できる部分が多いことも人気の秘密でしょう。
いかにクルマの性能が高くとも、クルマと運転技術、チューニング、走る環境がマッチしていなければ速くは走れず、状況判断を間違えば一瞬で勝負がひっくり返ってしまうこともある、ということが描かれています。
そこで、今回は第3弾になりますが、頭文字Dに登場するちょっとクセのある、しかし重要なことを教えてくれたドライバーとクルマたちを5つ紹介します。
●日産「シルビア」(S14型/中村賢太)
本作には各世代の日産「シルビア」「180SX」が登場しますが、「赤城レッドサンズ」のメンバー中村賢太の乗るS14型シルビアQ’sはターボではなく自然吸気エンジンを積んでいることが特徴です。
このS14型シルビアには大きく分けて「J’s」「Q’s」「K’s」という3つのグレードがあり、J’sとQ’sは自然吸気エンジン(SR20DE型/160馬力)、K’sのみがターボエンジン(SR20DET型/220馬力)を積んでいます。
中村賢太が自然吸気のクルマを選んだ理由については描かれていませんが、タイヤがすり減りにくい雨の日を選んで練習していたことや、チューンの内容もマフラーとECU交換にとどまっていることから判断すると、懐事情によるものだったのかもしれません。
ちなみに、シルビアQ’sの当時の新車価格(消費税含まず)は200万円前後、K’sの価格は250万円前後に設定されていたので、中村賢太にとって「K’sは手が出なかった」ということも容易に想像できます。
中村賢太は「非力なクルマでハイパワーなクルマをカモる」「馬力差が影響しにくい下りにおいて、技術と判断力で勝負を決める」という、頭文字Dの醍醐味を体現してくれるドライバーに成長するかと期待されていましたが、残念ながらあまり見せ場がないままに終わっています。
●マツダ(ユーノス)「ロードスター」(NA型/末次トオル)
頭文字Dでは、主役級メンバーの乗るクルマとして扱われることのなかったのがユーノス「ロードスター」です。ちなみに「ユーノス」は、ロードスターが発売された1989年当時、「オートザム」「アンフィニ」「オートラマ」「マツダ」とともに展開されていたマツダのブランドのひとつです。
当時ロードスターはユーノスの目玉車種であり、ユーノス=ロードスターと捉える人も当時は少なからずいたようです。
なお、バブル崩壊後にマツダはこの多チャンネル戦略を見直してユーノスを廃止し、それに伴い1998年にはNB型へのモデルチェンジとともにマツダ「ロードスター」と名称を改めることになりました。
作中で末次トオルの乗るロードスターは前期型です。ノーマルエンジンの排気量は1.6リッターですが、排気量を1.8リッターまで拡大し、4連スロットルを装着するなど「メカチューン」を施している様子が確認できます。
頭文字Dでは、さまざまなチューンが登場するものの、このメカチューンはお金持ちのチューンだと扱われる場面もあります(実際にECU交換やブーストアップに比較するとお金がかかります)。しかし末次トオルは、このチューニング費用を恋人に負担してもらうという珍しいタイプの走り屋として描かれています。
コンパクトで非力、しかしレスポンスを向上させたクルマでダウンヒルを制するという走りのスタイルを持っていて、これはまさに頭文字Dの王道といえるものです。
●ホンダ「S2000」(AP1型/城島俊也)
頭文字Dでは珍しいホンダ「S2000」を操る城島俊也は、職業が医師という設定であり、完璧主義者というキャラクターです。
作品中ではS2000について、「乗り手を著しく限定する」「限界領域に達することができるのは選ばれたひと握りのドライバーのみ」といった表現が見られ、つまり勢いや感情では乗りこなせないのがS2000であり、そのS2000にマッチする属性が「医師」「完璧主義者」だったのでしょう。
自身の走りを極限までストイックに追求する一方、バトルでは「いかに相手より優位に立つか」を考え、相手の反応を予想した動きを見せるなど戦略的思考に基づいたスタイルを持っています。
その走りはクリーンそのものでダーティな側面は見られず、常に先を予測するというスマートさもまた、頭文字Dが伝えたかった走り屋の理想像のひとつかもしれません。
城島俊也は藤原拓海をもっとも苦しめたドライバーといえ、拓海は激闘の末なんとか辛勝しますが、その後、城島に教えを請うという行動を見せています。
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