なぜ日本人はハイブリッドに乗りたがる? 割高で元が取れなくても人気を高めた理由

残価設定ローンもハイブリッド車購入の後押しに

 現行型の日産「ノート」は、2012年に発売され、2016年にハイブリッドのe-POWERを加えると売れ行きを一気に伸ばしました。2018年には、現行モデルノートの発売から6年を経過しながら、小型/普通車の最多販売車種になっています。

e-POWER搭載で販売が好調な日産「ノート」
e-POWER搭載で販売が好調な日産「ノート」

 ノートが好調に売れる理由を、日産の販売スタッフは次のように説明します。

「ミニバンの『セレナ』やSUVの『エクストレイル』のお客様がコンパクトな車種に乗り替えようとしたとき、ノートが有力な候補になります。

 ただ、普通のエンジンを搭載したノートでは、物足りないと感じるお客様も多いです。その点でe-POWERなら、話題性が高く運転感覚も上質なので、満足して購入されます」

 この背景には、日産の車種が減っているという事情もあるでしょう。以前はコンパクトカーの「ティーダ」、ワゴンの「ウイングロード」、SUVの「デュアリス」なども選べましたが、今では廃止されています。

 現在ラインナップされているコンパクトなサイズのクルマでも、「キューブ」は発売から10年、「マーチ」や「ジューク」も8年以上を経過して、古さは否めません。

 こうなると日産のコンパクトカーに乗り替えたい場合、選択肢は軽自動車を除くと実質的にノートしかないのです。ノートのノーマルエンジンに物足りなさを感じるユーザーにとって、ノートe-POWERは「これなら満足できる」と思える貴重な選択肢なのでしょう。

 ハイブリッドは、「普通のエンジンでは物足りない」「いつかはハイブリッドに乗ってみたい」といった理由で売れているのです。

 さらに、ハイブリッド車の購入を後押しする要因のひとつに、残価設定ローンがあります。

 残価設定ローンとは、契約時に数年後の残価(残存価値)を設定して、残りの金額を分割返済するローンです。

 例えば、200万円のクルマを契約して、3年後の残価が新車時の40%だとすれば、自分が使う間に価値の減る60%(120万円分)を3年間で分割返済します。

 ローンの返済期間を終えても車両は自分の所有になりませんが、月々の返済額を抑えられるため、残価設定ローンは人気を高めています。販売店によっては「残価設定ローンの利用率が50%以上」という話も聞きます。

 そして販売店のスタッフは、残価設定ローンについて次のように説明します。

「残価設定ローンでは、残価を除いた金額しか返済しないために、グレードを上級化しても月々の返済額があまり変わりません。そのために価格の高いハイブリッドを選ぶお客様も多いです。

 またノーマルエンジンは3年後の残価率が45%でも、ハイブリッドならリセールバリューが高く50%に増えることがあります。このように残価設定ローンの普及も、ハイブリッドの人気を高めています」

※ ※ ※

 ハイブリッド車は、環境意識の向上、乗り替えサイクルの長期化、さらに残価設定ローンの普及まで、いまのさまざまなトレンドを反映させて、人気を高めているのです。

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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