トヨタが見据えるタクシー業界の未来! 高齢化や需要増加など「2020年問題!?」 をどう乗り切る?

日本全国津々浦々、タクシーは走っています。しかし、タクシー業界ではドライバーの高齢化や不透明な賃金、2020年のオリンピック&パラリンピックに向けた需要増加など、さまざまな問題を抱えています。この先のタクシー業界はどうなっていくのでしょうか。

日本のタクシー業界はどうなる?

 ハイヤー・タクシー連合会が発表している、「2018年度の全国タクシー事業社およびタクシー車両数」によると、法人タクシー事業社はピークだった2005年の7076社から6232社と約10%減少しています。
 
 個人タクシーも4万5000件だったものが3万5000件と減っている現状です。同時に、タクシー運転者の数も38万人から28万人に減少傾向にあるようですが、女性ドライバーに関してここ数年は増加傾向にあるようです。

 日本のタクシー業界は今後、どうなっていくのでしょうか。

2017年10月に登場したトヨタのタクシー専用車「JPN TAXI」
2017年10月に登場したトヨタのタクシー専用車「JPN TAXI」

 タクシードライバーが大きく減っている理由はいくつか考えられますが、もっとも大きなことは運転者の高齢化だといわれます。高齢運転者が退職していくなかで新たな人材の確保ができていないようです。

 国土交通省の発表では、タクシードライバーの平均年齢は59.4歳で、バブル経済絶頂期に入った人たちが多いとされています。

 もうひとつは、タクシー業界における不透明な運転手の労働環境と就業所得の低さです。業務そのものはクルマという密室でおこなわれますが、就業しようとする人に、実態が分かりにくいのです。

 これらを総合すると、求職者側にタクシードライバーに対するネガティブなイメージがあり、ますますタクシードライバーが不足する事態になっているといえます。

 そして、すでに負荷がかかっている東京を中心としたタクシー交通システムに、2019年のラグビー・ワールドカップ、そして2020年のオリンピック/パラリンピックによる訪日外国人旅行者の急増がさらに圧力をかけるのです。

 世界最大級の自動車メーカーであるトヨタは、この問題への対応策を提示しようと試みています。

 昭和の頃は、ドライバーがレバーで遠隔操作する手動ドアが一般的でした。しかし、約20年前から電動式ドアを装備したトヨタのタクシー専用車が普及しているといいます。

 電動式ドアは、1964年の東京オリンピックを契機に普及しましたが、トヨタは、2020年のオリンピック/パラリンピックを目指して、新型のタクシー専用車「JPN TAXI」を2017年10月の東京モーターショーで発表し、市場に投入しました。

 環境対応策として液化石油ガス(LPG)専用エンジンとモーターをセットアップしたハイブリッドシステムを搭載したこのJPN TAXIは、段階的に導入が進められ、トヨタによると、現在東京内で走っているタクシーの2割以上がこの新型になったということです。

 また、東京都は障害者や高齢者のためのアクセシビリティを高める取り組みを進めるために、2020年の東京オリンピックまでに、タクシー車両の3割以上をJPN TAXIにすることを掲げています。

トヨタ「JPN TAXI」や「クラウンコンフォート」、日産「クルー」など、タクシー専用車を画像で見る(15枚)

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