フェラーリはなぜ赤が定番色? かつて赤の車体色は禁止? 人を魅了する車の色事情とは
クルマにはそれぞれのモデルにイメージカラーが存在。有名なのは、イタリアの高級車「フェラーリ」をイメージする「赤」です。なぜフェラーリには赤色が多く採用されているのでしょうか。
なぜフェラーリは赤色が定番色?
クルマには、イメージカラーというものが存在します。例えば、イタリアの高級車であるフェラーリをイメージする色といえば「赤」ですが、なぜフェラーリには赤色が多く採用されているのでしょうか。
赤いボディカラーが似合うクルマと聞いて、あまりクルマに詳しくない人でもすぐに思い付くのはフェラーリの各モデルです。スーパーカーの代名詞であるフェラーリは、第二次大戦後間もない1946年、イタリアの田舎町モデナで誕生しました。
初期フェラーリのロードスポーツのなかで最もよく知られているもののひとつが、1954年に登場したV型12気筒エンジン搭載のFRスポーツ「250」シリーズです。
1962年に登場した「250GTO」などは優雅で速く、そして高価なスポーツクーペやスパイダーは、顧客の好みに応じて著名デザイナーのピニンファリーナがボディを生産しました。
その後、V12フェラーリは「275」シリーズや「365」シリーズへ発展。それらのほとんどが「真紅」のボディカラーを纏っています。
なぜ、フェラーリは赤いボディカラーで登場したのでしょうか。そこには、フェラーリがレーシングカーを製造するコンストラクターだったことに由来しているようです。
初期のF1では、マシンの色はコンストラクターの国籍によって決められる、いわゆるナショナルカラーが主流でした。イタリアは赤、フランスは青、イギリスは緑、ドイツは銀、日本はアイボリー(白)に赤丸といった具合です。
フレンチ・ブルー、イタリアン・レッド、ブリティッシュ・グリーンなどという呼び名が、今でも多くの自動車メーカーのボディカラーとして残っています。
じつは、フェラーリのコーポレートカラーは赤ではなくイエローとされていますが、フェラーリが本拠を置くモデナ県の県章がイエローであるためです。
フェラーリの新型車発表会では、レッドのみならずイエローのモデルが展示されることがありますが、それにはこのような背景があったのです。
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日本では、いまでこそ多くのクルマで赤系の色が選択可能ですが、1960年代の初めまで、赤いボディの乗用車は認められていませんでした。その理由は、緊急自動車である消防車と見間違えてしまう可能性があるためといわれています。
そんななか1961年5月に、日本政府が後の特定産業振興臨時措置法案(特振法案)という、自動車をはじめとする特定の産業について、国際競争力強化のために既存の企業の統廃合を進め、新規参入を制限する法案が打ち出されました。
そこに猛反対をしたのが本田宗一郎氏率いる本田技研工業(ホンダ)です。当時、すでに2輪事業で国際的に成功していたホンダは、まさに4輪事業への新規参入を計画していたところでした。
もし特振法案が成立してしまえば、新規参入が制限されてしまうことから、ホンダは4輪の開発計画を急展開させ、特振法が成立する前に自動車メーカーとなってしまうことを狙ったのです。
結局、特振法は成立しませんでしたが、そうした背景のなかで赤色を初めて採用したのが、ホンダスポーツの原点といえる「S360」でした。
オレンジ色で作られたプロトタイプを見た本田宗一郎氏が「今度のクルマは赤でいくぞ! もっと赤い方がいい」といったことで、当時の担当者が運輸省へと何度も足を運び、赤色の使用許可を受けることになりました。
その際、本田宗一郎氏は「赤はデザインの基本となるものだ。それを法律で禁止するとは。世界の一流国で国家が色を独占している例など聞いたことがない!」と語ったとされています。
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