マイカーが夢から現実になった! 昭和の偉大な国産大衆車5選

いまや「大衆車」という言葉は聞かれなくなりましたが、かつてマイカーが「夢」だったころ、多くの人の夢を現実にした歴史的な大衆車がありました。そんな偉大な大衆車を5車種ピックアップして紹介します。

日本でもマイカーが持てるようになったころの大衆車

誰もがクルマに憧れた時代に誕生した「スバル360」
誰もがクルマに憧れた時代に誕生した「スバル360」

 現在、日本で一番売れているクルマは軽自動車です。かつてのような安いだけの軽自動車は数を減らし、いまでは快適装備や安全装備も充実して、登録車に負けない内容となっています。もはや軽自動車は現代の大衆車といえるでしょう。

 一方、軽自動車がここまで販売台数を拡大する以前、大衆車というと1.5リッター以下のクルマが主流になっていました。

 さらに昔に遡って1960年代に「マイカー」が一般庶民にも手が届くようになったころ、大衆車といえば360ccの軽自動車、もしくは1リッタークラスのセダンが定番でした。

 そこで、各メーカーの大衆車のなかから、歴史的な初代モデルを5車種ピックアップして紹介します。

●スバル「スバル360」

マイカーを現実のものとした「スバル360」

 太平洋戦争が終結した後、戦前から戦中に飛行機製造をおこなっていた中島飛行機は、解体を命じられます。

 そこで、元中島飛行機の技術者たちはスクーターなどの製造をおこないながら、富士重工業を設立し、1958年に「スバル360」を発売します。

 当時、国から提唱された「国民車構想」に則ったかたちでコンセプトが固まり、幾多の困難の末に誕生しました。

 飛行機製造で得たノウハウを注ぎ、全長2990mm×全幅1300mm×全高1380mmという車体は、軽量かつ広い室内空間を実現。

 初期モデルのエンジンは16馬力の空冷2サイクル2気筒と、いまの水準ではパワフルとはいい難い数値ですが、わずか385kgの車体ということもあり、4人乗りで最高速度83km/hを記録しました。

 発売当初の価格は36万5000円と、当時の貨幣価値から考えると決して安くはありませんでしたが、それでも頑張れば手が届く価格とあって、マイカーが夢から現実に変わったことを知らしめました。

●トヨタ「カローラ」

世界中で愛されている「カローラ」はここから始まった

 トヨタによる自動車製造は太平洋戦争以前、1936年(昭和11年)に発売された「トヨダAA型」から始まります。

 終戦後に本格的な自動車製造を開始すると、トヨペット「クラウン」をはじめ数々のクルマを世に出し、大メーカーへと歩んでいきました。

 そして1966年に、ダットサン「サニー1000」に遅れること約半年、トヨタを代表する大衆車「カローラ」が誕生します。

 初代カローラのエンジンは1.1リッター直列4気筒OHVを搭載し、ライバルだった1リッターエンジンのサニーに対し「プラス100ccの余裕」と優位性をアピール。

 ボディ形状は2ドア/4ドアセダンをはじめ、クーペ、ワゴン、バンと豊富なバリエーションを展開。大衆車としてあらゆるニーズに応えていました。

 その後のカローラは世界中で販売を開始し、ベストセラーカーとなります。現行の「カローラアクシス/フィールダー」は累計で11代目ですが、2019年には次期型カローラの登場が決定しています。

●日産「サニー」

これぞ大衆車といわれる名車「サニー」

 日産はその前身の快進社から遡ると、100年以上の歴史があります。大正3年には「ダット自動車」を完成させ、小型自動車やトラックを主に製造し、1934年に日産自動車が誕生します。

 太平洋戦争後はイギリスのオースチンと業務提携を結び、オースチンのモデルをノックダウン生産して、近代的な自動車製造を学びました。

 そして1955年には自社開発の「110型 ダットサンセダン」の製造を開始し、自動車メーカーとして軌道に乗ります。

「ブルーバード」や「セドリック」といった名車が誕生した一方で、より庶民に身近なクルマとして1966年に初代ダットサン「サニー」を発売。

 後に名機といわれた1リッター直列4気筒エンジンの「A10型」を搭載し、それまでの日産車に比べモダンなデザインの2ドアセダンでした。

 後にボディバリエーションが拡大し、4ドアセダン、クーペ、バン、ピックアップトラックをラインナップして、前述のトヨタ「カローラ」に対抗します。

 サニーは日産を代表する大衆車として進化を続けながらも、2004年に9代目をもって販売を終了します。40年近くも販売されてきましたが、セダン需要の低下もあり、日産の主力モデルはコンパクトカーやミニバン、軽自動車へと変化していきました。

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