車が浸水! 正しい脱出法は? 窓が開かない場合に割るべきガラスはどれ?

異常気象のひとつとして盛んに報道されるゲリラ豪雨。クルマに乗っていて万が一浸水したら、乗員はどのように対処すればよいのでしょうか。

クルマの浸水時、脱出するために割るべきガラスはどれ?

 近年、盛んに報道されている気象災害のひとつにゲリラ豪雨があります。地域によっては、雨の影響で道路が冠水し、交通事情に甚大な悪影響を与えます。

 クルマの乗員も被害を受ける可能性がありますが、アンダーパスのある道路では水没する可能性もあります。クルマが水没したらどう対処すればよいのでしょうか。

気象災害時にドライバーが気をつけるべきこととは

 雨によるクルマの浸水被害は毎年後を絶ちません。

 万が一水没してしまった場合はクルマから脱出する必要がありますが、正しい対処法は何でしょうか。JAFは、次のように説明します。

「クルマの前方にエンジンが搭載されている乗用車では、前部が最初に沈みこみ前傾姿勢となります。万が一、こうした状況に遭遇しても慌てず対処する必要があります。

 手順としてはシートベルトを外し、窓ガラスが水面より高い位置にある状態なら、窓ガラスを開けてクルマのルーフに上るようにして脱出します」

 ※ ※ ※

 窓ガラスを開けるときに問題となるのが、電動パワーウインドウです。水による電気系統のトラブルで開かなくなる場合があるので、そのときは緊急脱出ハンマー(以下、ハンマー)で窓ガラスを割る必要がありますが、どのガラスを割ればよいのでしょうか。

 国土交通省は、ハンマーの正しい使い方について次のように説明します。

「脱出の際には、サイドウインドウかリアウインドウをハンマーで割って脱出するのが良いでしょう。『合わせガラス』を用いることが法律で義務付けられているフロントウインドウは、割ろうとしてもヒビが入るだけで脱出できません」

 フロントウインドウを避けるべき理由としては、フロントウインドウに用いられる合わせガラスは、飛び石対策や衝突事故時に乗員の被害を軽減することを目的に、ヒビが入ることがあっても粉々にはなりにくい性質を持っていることが挙げられます。

 そのため、ハンマーで打っても割れにくいのです。

 一方、サイドウインドウやリアウインドウに用いられることの多い強化ガラスは、衝撃抵抗が普通のガラスの3倍から5倍と割れにくくできているものの、ハンマーがあれば割れる可能性がフロントガラスより高いのが特徴です。

 そのため、緊急時にはフロントウインドウ以外のガラスを割って脱出するのが望ましいのです。

 なお、トヨタは自社純正ハンマーについての説明のなかで「一部のクルマでは、サイドウインドウおよびリヤウィンドウには、合わせガラスが使用されているため割ることができません」と説明しています。

 また、ホンダも同様の自社純正ハンマーの説明において「フロントウインドウおよびリアウインドウが合わせガラスとなっている場合があり、その場合はハンマーでは割ることができません。適用できない車種の詳細については、販売会社にお問い合わせください」としています。

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