興奮を呼ぶ四つ葉のクローバー? アルファロメオの個性が異なる「クアドリフォリオ」とは

SUVだからといって侮れない「ステルビオ」の実力とは

 さて、次はステルヴィオのクアドリフォリオに乗り換えます。こちらは名前からして、カッコだけのクロスオーバーSUVではないことを主張しています。

「ステルヴィオ」とは、イタリア北部にあるハードな峠の名前なのです。それにプラスしてクアドリフォリオも付いているわけですから、狼のなかの狼。その期待を裏切ることなく、2017年9月にステルヴィオもニュルブルクリンクサーキットで量産SUV世界最速タイムを記録しています。

 ジュリアと同じ2.9リッターV6ツインターボエンジンを搭載し、510ps/600Nmというパワーもきっかり同じです。車両重量がかさむこともあって、最高速度は283km/hにとどまりますが、0-100km/h加速はジュリアを上回る3.8秒。これがどんな世界観を見せてくれるのか、さっそく山道へと繰り出しました。

 インテリアはジュリア同様に、アルファロメオのデザイン哲学と走りへの情熱が、五感を通して訴えかけてくる空間になっています。アクセルペダルの踏み始めに、ほんの一瞬は重さを匂わせるものの、ジュリアとほぼ遜色のない軽快感で加速していくことに驚きます。

 そしてすぐに太いトルクに押し上げられて、余裕たっぷりの加速フィールが思いのまま。まるで空気を切り裂いて突き進むような迫力がある一方で、カーブではまったくズレのない挙動で俊敏な身のこなしを披露し、まるでスポーツカーを操っているよう。

 アイポイントの高さと重心の低さを感じさせる挙動が、とても不思議な運転感覚をもたらします。アイポイントの低いジュリアから乗り換えた直後なので、余計にそう感じたのかもしれません。

 ジュリアとの違いは、ブレーキフィール。どちらかというと、ペダルを踏んでから少し深めのところで効いて、コントロール性の良さが際立つジュリアに対して、ステルヴィオは初期からガツンと効いて、そこからジワリとコントロールさせてくれると感じました。
 
 そのほか、ALFAシャシードメインコントロールと連携するALFA DNAドライブモードシステムなど、アルファロメオらしい走りを実現するメカニズムに加えて、電子制御式4輪駆動システム「Q4」による付加価値がつくのもステルヴィオの魅力。

 これは未舗装路や雪道だけでなく、タイトなコーナリング時などでも安定性やトラクション、ステアリング特性を高めるというから、ドライバーもちょっと大胆になってしまいそうです。

 そして楽しいのが、メーター内の液晶モニターに表示される「g-mater」。走行中に前後左右のどこにどれくらいのGがかかっているのか、ひと目で知ることができるのです。

 今回、箱根を走った時のピークは0.57Gでした。F1マシンは減速時で最大5Gくらいかかると聞きますから、まだまだ小さなものですが、これがサーキットに持ち込んだらどれくらいになるのかな、なんて考えるだけでもワクワクしてしまいました。

 このご時世にクルマの持つポテンシャルをすべて味わうというのは、なかなか難しいものではあります。でもアルファロメオの最新クアドリフォリオは、低速でもチョイ乗りでも、こちらが予想する以上のパフォーマンスでまず心を揺さぶり、どんどん夢中にさせてしまう。

 そこには先進テクノロジーだけでなく、やはり情熱というアルファロメオ伝統のスパイスがたっぷり注がれているとしかいいようがありません。

 ジュリアとステルヴィオ、2台のクアドリフォリオはまさに、それぞれの世界でオンリーワンの、興奮を呼ぶ四つ葉のクローバーでした。

【了】

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