速そうな外観だけど走ると残念!? 狼の皮を被ったヒツジ5選

海外にもあった「羊」なモデル

●ポルシェ「912」

廉価版だったが、いまでは価格が高騰してしまった「912」

 第二次世界大戦後にポルシェはフォルクスワーゲンのエンジンをチューニングして搭載した小型スポーツカー、ポルシェ「356」を開発。

 その後継として1964年に発売された「911」は、新たに開発された2リッター空冷水平対向6気筒SOHCエンジンをリアに搭載したRR駆動の2+2コンパクトクーペで、その性能の高さからポルシェの輝かしい歴史を刻んでいくことになります。

 911は356に比べて大幅に高い価格となりましたが、356でせっかく獲得したオーナーたちを失わないために、911のボディに最終型356に搭載していた1.6リッター水平対向4気筒OHVエンジンを搭載する廉価版である「912」を追加しました。

 912に搭載されていたエンジンは最高出力90馬力で、動力性能は排気量で勝る911の130馬力に到底及ばないものでしたが、エンジンが4気筒と軽量だったため、911よりも前後重量バランスは良かったとの評価もあります。

 1967年にはオープンボディの「912タルガ」もバリエーションに加わりましたが、その役目を終え1969年には生産を終了します。

 ポルシェの廉価モデルは「914」や「924」に引き継がれ、以降の911は高級スポーツカー路線のモデルとして限定され、そのブランディングは成功を収めました。

●ポンティアック「フィエロ」

どう見ても完全にスポーツカーだった「フィエロ」

 かつては「ファイヤーバード・トランザム」や「グランダム」で日本市場でも人気だったポンティアックは、GMのブランドの中でもスポーティなキャラクターと低価格で、若年購買層をターゲットとしていました。

 そこで、1983年に米国では初のミッドシップレイアウトの量産車で、ボディ外板をすべて樹脂製にした「フィエロ」を投入しました。

 リトラクタブルヘッドライトを採用し、ひと目でスポーツカーとわかる外観のデザインと低価格で人気車となりました。

 しかし、ブレーキやサスペンションなどを、同年代のシボレー製大衆車から流用したGMらしい手法がとられたことから、ミッドシップレイアウトでありながらスポーティさには欠けるもので、搭載されたエンジンも最高出力93馬力の2.5リッター直列4気筒と136馬力の2.8リッターV型6気筒と、決して高性能とはいえませんでした。

 ところが、1100kg程度の車重だったためにミッドシップスポーツカーの感覚を味わうにはちょうど良く、5年間という短い期間で約37万台も売れたことで、中古車も豊富に流通していました。

 安価な中古車が多数販売されていたことと、フィエロのフレーム構造と樹脂製のボディは改造しやすかったため、フェラーリやランボルギーニなどスーパーカーのレプリカモデルのベース車としても人気がありました。

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※ ※ ※

 見た目は速そうでもローパワーなエンジンを搭載したクルマは、決して鈍重なだけではありません。

 シャシ性能が優れているクルマの場合は、エンジンのパワーを使いきる走りができ、むしろドライビングプレジャーを高めることができます。

 実際、かつてイギリスのスポーツカーメーカーのロータスは、そうしたクルマ作りを行なっていた時代があります。

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Writer: くるまのニュース編集部

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