新型「スカイライン」日産ブランドで復活? 新型車なく疲弊する販売店の起爆剤なるか
これからの日産、どうなる??
日産の戦略が変わり、日本市場へ十分な投資を行うようになるのか、日産の関係者は次のように話します。
「カルロス・ゴーン元会長は、世界の市場を公平にとらえていました。近年では、日本で発売される日産の新型車は1年から2年に1車種程度でしたが、これは国内向けの商品開発を国内市場の規模や将来性から客観的に判断した結果です。
この流れが、今後は少しずつ変わるように思います。日産の国内市場に対する取り組み方が消極的すぎるという批判は、お客様だけでなく販売店からも聞かれ、社内的にも課題のひとつになっていたからです。カルロス・ゴーン元会長が去ったことで、日産の国内市場に対する姿勢が積極的になる可能性はあるでしょう」
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このコメントにもある通り、変化が生じるとしても少しずつです。クルマの商品開発は、最短でも約2年、長ければ5年以上を要するからです。
それでも2020年代に入ると、日産が発売する日本向けの商品が増え始めるかも知れません。この先駆けが、「スカイライン」のエンブレムをインフィニティから日産へ戻すことなのではないでしょうか。
しかし、日産の国内市場へのテコ入れは、なるべく早くおこなう必要があります。国内の販売網が既に疲弊しているからです。
今の日産の国内販売順位は、トヨタ、ホンダ、スズキ、ダイハツに次ぐ5位まで後退しました。しかも売れ筋車種は、軽自動車の「デイズ」&「ルークス」、「ノート」などで、e-POWER搭載車が多いとはいえ低価格化が進んでいます。
これに伴って、国内の販売店舗数も減りました。2003年頃には約3100店舗ありましたが、2008年には2800店舗に減り、2019年は2100店舗に減少。
16年前に比べると、1000店舗減っており、比率に換算すれば70%以下です。スカイラインは、2019年の秋にマイナーチェンジを実施して、進化した運転支援機能のプロパイロット2.0も搭載します。ここでエンブレムを元に戻すのかも知れませんが、さらなるテコ入れを必要としている車種も多いです。
例えば、「ジューク」は売れ筋カテゴリーのコンパクトSUVでもあるため、フルモデルチェンジを待っているユーザーが大勢います。「キューブ」もフルモデルチェンジが理想ですが、せめてマイナーチェンジをおこなって緊急自動ブレーキを装着しただけでも、十分に歓迎され売れ行きも伸ばせるでしょう。
また、「マーチ」も欧州で売られるスポーティな「マイクラ」に置き換えた方が、魅力的なクルマになるのではないでしょうか。
日本国内で販売される日産車は、設計が全般的に古くなっているため、効果的なマイナーチェンジをおこなったほか、海外向けの車両を国内で発売するだけでも、ユーザーは大きなメリットを得られます。
なるべく早く、「日本市場への投資」を正していくことが日産の生き残る道なのです。
【了】
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
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