日本の自動車税は高い? 複雑怪奇な税制の日本が諸外国と違う部分
消費税10%になったら自動車取得税は廃止されるが
日本の公共交通機関が理想的な状態で、体の不自由な人も含めて不満なく外出できるなら、クルマの税金が高額でも生活に困る人は生じません。しかし実際には、公共交通機関が未発達な地域も多く、クルマを所有しないと日常生活が不便になるユーザーがたくさんいます。
とくに最近は若い人達が都市部に流出する傾向が強く、公共交通機関が未発達な地域では高齢者の比率が従来以上に高まりました。年金で生活する高齢者が、クルマを通院や日常的な買い物のために使うのですから、可能な限り税金を安く抑えるのは当然です。クルマを高齢者福祉に含めて考える必要が生じてきました。
また別の観点で考えると、自動車関連税の大半が課税する法的根拠を失っている問題もあります。いい換えれば違法性を伴った徴税が続いているのです。
具体的には、自動車取得税、自動車重量税、揮発油税、軽油取引税などは、道路を建設したり整備するための「道路特定財源」として創設されました。クルマのユーザーは、車両が通行できる道路によって多くの利益を得ているから、その建設や整備費用も負担すべきという考え方に基づく「目的税」です。
ところがこの道路特定財源制度は、2009年に廃止されました。そうなると自動車取得税や自動車重量税も廃止せねばなりませんが、今でも徴税が続いています。納められた税金は、もはや道路建設や整備費用に限らず、一般財源(普通の税金)として幅広い用途に使われています。
つまりクルマのユーザーは、ほかの人達よりも多額の税金を理由もなく負担しているのです。「元・道路特定財源」の税金をすべて廃止して、自動車の税金を新しく整える必要があるのは当然でしょう。
そこで消費税が10%になったら、まずは自動車取得税を廃止することになりました。自動車取得税は、文字通りクルマを取得する時に納める「元・道路特定財源」の税金で、消費税と併せて二重課税になっているからです。
しかし実質的には廃止されません。自動車取得税の廃止と同時に「環境性能割」というエコカー減税を含む自動車取得税に似通った税金を新たに導入するからです。つまり「自動車取得税が環境性能割に名前を変えるだけ」といえるでしょう。
その一方で、消費増税されると自動車税が1000から4500円の範囲で減税されます。消費増税後は、複雑な自動車関連の税金がさらに分かりにくくなるのです。
【了】
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
あのガソリン価格+税のところに消費税かけるのやめてほしい。ガソリン価格の部分だけに税金をかけるのなら納得がいくが、そうではない今のやり方は全く国民を馬鹿にしているとしか思えない。