クルマは安全? 多発する「ゲリラ豪雨」時に気をつけるべき予防と対策
クルマが浸水したらどうする?
実際にクルマに雨水などが浸水した場合にどのようなことが起こるのでしょうか。JAF(日本自動車連盟)は2010年に、実車を用いた冠水路走行テストをおこなっています。
テストでは、セダンタイプと車高の高いSUVタイプの2車種が用いられ、最大60cm冠水したアンダーパスを模したコースへ10km/hで進入した場合と、30km/hで進入した場合を比較しました。
冠水路に入ってすぐ、水深30cmの段階では、両車とも走行が可能でしたが、セダンにおいては、30km/hでは巻き上げる水の量が多くなり、エンジンルームに多量の水が入っています。そして、水深60cmになると、セダンは途中でエンジンが停止しています。
一方、SUVでは水深60cmでも10km/hならば走り切ることができましたが、30km/hで進入した際には、エンジン下部に多量の水が入りこみ、エンジンが停止しています。
エンジンが停止した原因は、エアインテーク(空気の取り入れ口)を通してエンジン内部に水が入ったためとされましたが、マフラーにも多量の水が入り込んで排気ができなくなっている状態。たとえ水深が低い場合でも、速度によって水の動きが異なることもあり、いつ停止してもおかしくない状態だったかもしれません。
国土交通省では「水に浸ったクルマは、外観上問題がなさそうな状態でも、電気系統のトラブルによる車両火災や感電事故が発生する可能性があります」と説明しています。
また、浸水した可能性があるクルマは、「自分でエンジンをかけない。(とくに、HV、EV車は高電圧のバッテリーを搭載しているのでむやみに触るのもNG)」「クルマを移動する際はJAFなどロードサービスや最寄りのディーラー、整備工場に相談しておこなう(可能であればバッテリーのマイナス側のターミナルを外す)」と注意を呼びかけています。
自分のクルマが浸水・冠水した際、その後の対応はどうすればいいのでしょうか。千葉県の中古車販売店の店長は「そのクルマの浸水状況によって対応は異なります。多少の浸水でクリーニングをすれば元通り乗れるケースもありますが、エンジン内に水が侵入していればほぼ廃車扱いです」といいます。
また、自動車メーカー各社はハイブリッド車などの「レスキュー時の取扱い」をホームページなどに掲載しているため、ゲリラ豪雨に対する防災意識を高めるためにも、一度確認しておくのがいいかもしれません。
【了】
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