交差点事故どう防ぐ? 全国に広がる歩車分離式信号機の効果とは
交差点は交通事故が発生しやすい場所のひとつです。行政や警察などの取組みのひとつとして「歩車分離式信号機」というものがあります。「歩車分離式信号機」とはどんなものなのでしょうか。
交差点事故を減らせるか? 歩車分離式信号機とは
2018年の交通事故件数は、警察庁の発表によると全国で43万601件(負傷者数:52万5846人)でした。事故の原因にはさまざまなものがありますが、なかでもクルマと歩行者との事故が多いのは「交差点」です。
一般的な交差点では、クルマと歩行者の信号表示切り替えが同時に行われるため、両者の動きが交わることになります。それにより、接触などの事故やトラブルに発展する可能性が高いといえます。このような交差点横断時の事故を防ぐには、どうすればいいのでしょうか。
2002年9月に、警察庁は「歩車分離式信号に関する指針」を制定しました。歩車分離式信号とは、車両の通過と歩行者の横断が交わらないように、両者の青信号のタイミングを分離している信号機のことです。歩行者が横断中に車両が横切らないように信号を制御するため、交差点の事故を減少させる効果があります。
2017年3月時点で、歩車分離式信号機は全国で約8900基設置され、全国にある信号機は約20万8100基のため全体の約4.3%程度です。
また、歩車分離式信号にはいくつかの種類が存在し、すべての車両が停止している間に歩行者を横断させ、歩行者の斜め横断ができるスクランブル方式や、斜め横断ができない歩行者専用現示方式、車両用の矢印信号で車両が直進している間に、同方向の歩行者を横断させる方式などがあります。
ほかにも、歩車分離式信号には、交差点での事故を抑制や右左折車両がスムーズに通行できるなど、歩車分離式信号にはいろいろなメリットがあるのです。
2002年に警察庁が全国100カ所の交差点を抽出して歩車分離式信号を調査した結果、人身事故が約4割減少し、このうち人対車両の事故は約7割減少したことがわかっています。
各都道府県では、歩車分離式信号の導入を進めているなかで、宮城県内でも徐々に歩車分離式信号機の設置が増えています。
宮城県警察本部は採用理由について、「県警ホームページにも記載がありますが、『交差点における歩行者の安全性を高めるために、とくに歩行者が多く集まる駅周辺や、福祉施設周辺、学童通学路等を中心として歩車分離式信号機を導入しております』」と説明しています。(一部引用)
また、歩車分離式信号機の設置数に関しては、「2013年には、『スクランブル方式』『歩行者専用現示方式』『右左折車両分離方式』を合わせて76基設置していました。2017年時点では、144基と少しずつではありますが増えています」と話しています。
歩車分離式信号機の設置は、単純なコストだけではなく周辺住民や利用者の理解・認知も課題のひとつとなり、全国に点在する交差点に順次導入するには時間がかかります。しかし、信号交差点における交通事故の防止には、有効とされることから、今後の普及に期待は高まっています。
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