最近の新車にはほぼ搭載される自動ブレーキ用カメラ、なぜドラレコ用と兼用できないのか
安心安全なシステムを作るための地道な開発工程とは
単眼カメラは現在、さまざまな自動車部品メーカーが製品を作っています。
日本ではトヨタ系部品メーカーの「デンソー」が有名で、海外ではドイツの「コンチネンタル」や「ボッシュ」、スウェーデンの「オートリブ」が代表的です。
一方、画像認識の技術は、カメラに使用する半導体の技術力に大きく影響されています。この分野ではインテルが買収したイスラエルの「モービルアイ」、またゲームの分野でも有名なアメリカの「エヌビディア」が大手です。あなたが普段乗っているクルマのなかにも、イスラエルの技術が盛り込まれているかもしれません。
最近ではクルマ用の画像認識の回路で、「ソニー」が大躍進していることも付け加えておきます。
では、2つのカメラを使うステレオカメラでは、どのメーカーの技術が進んでいるのでしょうか?
欧米の自動車メーカーの多くは、コンチネンタルをはじめとしたドイツ系部品メーカーを使っています。
一方、日本でステレオカメラといえば、やはりスバルのシステム「アイサイト」です。アイサイトの場合は、スバルと「日立オートモティブシステムズ」による共同開発となっています。
このシステムは、「ぶつからないクルマ?」という、かなり大胆なキャッチコピーを用いた宣伝で一躍有名になりました。以前は、アウトドアに適したRV車や、スポーツブランドの「STI(スバル・テクニカ・インターナショナル)」がブランドイメージの主流だったスバルですが、最近ではアイサイト目当てで購入する人も増えています。
あるスバル関係者は「『レガシィ』向けに価格を一気に落として搭載した頃から一気に普及した」と、アイサイトの歴史を振り返ります。
またアイサイトの特徴について、開発を担当した技術者は次のように話します。
「アイサイトは開発にあたって、公道を実際に走って調整が行われています。さまざまな状況を技術者自身が体感することで、スバルとしての味付けをじっくりと行っています」
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当然、単眼カメラ・ステレオカメラのいずれにしても、他の自動車メーカーも公道での実験を重視していることに変わりはありません。
アイサイトの場合も、トヨタと同じく画像認識に特化した設計のため、現状ではドラレコ用カメラと併用することはしていません。
こうした、自動ブレーキ向けのカメラの今後について、前述のトヨタ幹部は「将来的には、ドラレコ用カメラと併用することも十分にあり得る」と証言しています。ただし、その時期について明言はしませんでした。
【了】
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
テスラは自動運転用のカメラをドラレコに使ってるけどこの記事では存在しないことにされている…?!