なぜ京都・二条城で開催? クルマの美を競う祭典「コンコルソ・デレガンツァ」とはどんなイベント?

クルマだけじゃない! コンクール・デレガンスに必要な3つの要素とは

ランボルギーニ 5-95ザガート100thアニバーサリー

 コンクール・デレガンスに必要なものは大きく3つあります。

 ひとつ目は当然クルマ。これはただピカピカに磨き上げられていることが重要なのではなく、まずそのクルマの歴史がしっかりしていることが必要です。たとえばこれまでの経歴や、どういったオーナーが所持していたのか、といったことが含まれます。

 また、オリジナル性がどれほど高いかも重要です。従って、新車当時から全く修復などされていないクルマかどうかも条件に入ってきます。

 ふたつ目は展示される環境です。ヴィラ・デステやペブルビーチなど、歴史があり風光明美で、かつ普段はクルマが入ることができない特別な環境。そのうえ、そこにクラシックカーを置くと“様になる”ような場所が望ましいでしょう。

 そして最後は審査員です。当然のことながら、クラシックカーのことを深く理解していて、かつ美的センスが必要となります。そのため、多くのコンクールにはクラシックカーの専門家のほかに、カーデザイナーが名を連ねることが多くあります。

 日本人では、オペルで活躍したカーデザイナーの児玉英雄氏はコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステの審査員を務めたほか、日産のデザイン部門の元トップとして知られる中村史郎氏は、ペブルビーチコンクール・デレガンスの名誉審査員を現在も務めています。

 これらのハードルの高い条件をクリアすることは至難の業です。それでもアジア、とくに日本において世界に誇れるコンクール・デレガンスを開催したいという想いで、3年前から「コンコルソ・デレガンツァ・京都」を催し始めたのが、アートアクアリウムなども手掛ける木村英智氏でした。

 木村氏は、実際に海外の多くのコンクール・デレガンスを見学したり、また自ら出品するなどで知識と知己を増やしていくことで、開催の準備を整えていきました。

 また、本業であるアートアクアリウムの仕事も大きくそこに影響しました。過去にアートアクアリウムを開催した京都の「二条城」を、コンクール・デレガンスの場所として提供してもらえたのです。

 日本らしく、しかも世界遺産というグローバルに認められた場所での開催ですから、これだけでも世界に誇ることができる要素といえるでしょう。これで条件のひとつはクリアできました。

 次に、審査員は前述の2大コンクールの審査委員長や審査員を招聘しました。彼のこれまでの活動の功績が認められ、FIVA(国際クラシックカー連盟)の公認イベントにも認定されたうえ、その会長も参加しています。さらに、中村史郎氏も審査員として出席し、条件のふたつ目もクリアしました。

 そして肝心のクルマは、出品車両に特徴を出すことを目的に毎年テーマが設けられています。2019年は、イタリアの名門カロッツェリア(車体を製造する職人・業者)である「ザガート」の100周年がメインテーマとされました。

 もちろんイベントは本家ザガートの全面バックアップのもとで行われ、ザガートのCEOであるアンドレア・ザガート氏や、同社バイスプレジデントデザイナーの原田則彦氏も駆け付けました。さらに、このイベントを皮切りに全世界で100周年イベントを行っていくと発表されたことから、本国でもこのコンクール・デレガンスの重要性を認識しているといえます。

 そして、近年ヒストリックカー部門の「ポロストリコ」に力を入れているランボルギーニのモデルも多数登場しました。

 1960年代のGTカーである「イスレロ」や「エスパーダ」、そしてミッドシップレイアウトが採用された「ミウラ」をはじめ、スーパーカーブームの中心となった「カウンタック」や同社のSUVの始祖となる「LM002」も展示され、会場はランボルギーニ博物館の様相を呈していました。

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