なぜキレイ? 無人コインPの青空駐車カーシェア車が汚れていない理由とは
専任スタッフによる清掃と利用者の協力のおかげでカーシェアリングは成り立っている
清掃・メンテナンス作業時には、専任スタッフは丁寧かつすみやかに、スプレー洗車ワックスで汚れをどんどん落としていきます。頑固な汚れは水をスプレーでかけて浮かせて取り、外装の清掃は15分程度で完了しました。
外装の次に行うのは車内の清掃です。クルマに備え付けられている清掃グッズを使って、フロア部分やマットはもちろんのこと、シートやダッシュボートまで美しく仕上げていきます。
それが終わると、今度はボンネットを開けて冷却水やブレーキフルード、ウォッシャー液、そしてタイヤの空気圧などの点検を手早く実施。すべての工程を小一時間ほどで完了させて、次のクルマの手入れへと移っていきました。
たしかに清掃前とは違ってピカピカになりましたが、ここで筆者(山崎友貴)が気がついたのは、元々のクルマの状態が非常にいいということです。
カレコのステーションは全部で約2100カ所、車両台数は約3600台もあります。それに対して清掃メンテのスタッフは約50人しかいません。どうやってこの状態を維持しているのでしょうか。
じつは、これにはカレコのシステム自体に秘密があったのです。三井不動産リアルティ・シェアリング事業本部の栗林直美さんは次のように説明します。
「カレコは月会費と利用料金のみで使うことができます。また、車内に専用カードが備え付けられており、このカードで給油ができるほか、上限額2000円の範囲内で洗車もすることが可能です。
使用後の洗車義務は基本的にはありませんが、洗車をして返却してくださったお客様には、次回の使用料金で使える500円分のクーポンを発行しております。
弊社ではいつも綺麗なクルマをお客様に乗っていただきたいと考えており、綺麗なクルマを提供することで、お客様にもより大切に乗っていただけます」
※ ※ ※
500円クーポンの特典もあってか、洗車に協力してくれるユーザーも多いそうです。大抵の車両は1日に1回は出庫するため、そのユーザーが洗車をしてくれるとすれば、頻度はかなりのものになります。じつにうまいシステムです。
ちなみにカレコが揃えるクルマは、現在50車種以上にのぼります。使いやすいコンパクトカーだけでなく、メルセデス・ベンツのような高級車や、スズキ「ジムニー」やトヨタ「ランドクルーザー」といった趣味性の強いSUVに加え、キャンピングカーまでさまざまです。
多様なライフスタイルでの使用が想定されているそうです。
栗林さんによると、最近は買い物やドライブなどに使うだけでなく、購入を検討している車種の“ロング試乗”のために借りる人も多いのだとか。そのため同社では、市場で人気のあるSUVも積極的に導入しているといいます。それらすべてのクルマが、常にベストな状態でユーザーを待っています。
一見すると“放置”されているかのようなカーシェアリングのクルマたちですが、実際にはきちんと気配りと手入れがされていて、いつも安心して最高の状態のクルマに乗ってもらうためのシステムがあるのです。
【了】
Writer: 山崎友貴
自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。
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