志が高かったトヨタ「iQ」も残念な結果に 評価されたけど売れなかったクルマ5選
優れた運動性能やパッケージングが評価された2台
●ホンダ「レジェンド」
ホンダのフラッグシップカーとして初代「レジェンド」は1985年に発売。「アコード」は日米で好調な販売を記録していましたが、とくに北米ではさらに大型なモデルが要求されたため、レジェンドが企画されました。
代を重ねるたびにレジェンドは、より大きく快適なクルマへと進化していきましたが、大きく方向性を変えたのが2004年に発売された4代目です。
それまでFFの大型セダンだったレジェンドは、新開発の4WDシステム「SH-AWD(スーパーハンドリングAWD)」を搭載し、さらに280馬力自主規制が撤廃され、国産車で初となる300馬力を達成するなど、大いに話題になりました。
このSH-AWDは、前後輪と後輪左右の駆動力を制御することで、これまでにないほどの高いコーナリング性能を実現。一般道ではスポーツカー並のハンドリングと評価されました。
しかし、それほどのコーナリング性能がこの種類のクルマに必要だったのか。またデザインも押し出し感よりもスマートさを選択したため、大型セダンとしては線が細い印象でした。
マイナーチェンジでフロント周りのデザインが大きく変更されるなど、テコ入れが行なわれましたが、2012年に生産が終了してしまいます。
●トヨタ「iQ」
メルセデス・ベンツが販売しているスマート「フォーツー」や、かつて販売されていたスズキ「ツイン」のようなクルマをマイクロカーと呼びますが、どちらも2シーターです。
街なかを走る「足」としては十分な空間を持っていますが、2008年、トヨタはマイクロカーと同じような車体形状で4シーターとしたモデル「iQ」を発売します。
ボディサイズは全長2985mm×全幅1680mm×全高1500mmと軽自動車よりも40cm以上短く、このなかに4つのシートを収めるために非常に高度なパッケージング技術が注ぎ込まれました。
具体的な事例として、専用設計されたトランスミッションでエンジンよりも前輪を前に出し、エアコンのユニットも専用に小型化して助手席足元の空間を確保。
また、燃料タンクを床下に格納し、運転席・助手席シートバックの薄型化などで、4シーターを実現しました。ただし、快適に乗れる限界は大人3人と子ども1人の3+1のようです。
これほど小さいと安全性の確保も難しいですが、後席の乗員を追突事故時に保護する世界初の「リヤウインドウカーテンシールドエアバッグ」を全車に標準装備するなど、iQの開発には技術の粋が集められました。
トヨタの苦労の甲斐もあって、iQは2008年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、高い評価を受けます。
しかし、このサイズのクルマに4人乗車というのは一般にはあまり理解されず、そもそも軽自動車の方が使い勝手もよいはずなので、販売は低迷してしまいます。
※ ※ ※
今回紹介した5台はどれも完成度が高く、販売が低迷したのは非常に残念です。
新型車の発売は、ニーズやデザインのよさ、経済性、動力性能、ライバルの存在など、いろいろな要因で成功の可否が決まりますが、この5台も出すタイミングによっては、違った未来があったのかもしれません。
【了】
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