なぜセダンはトヨタしか売れない? 日産ブランドが消えた「スカイライン」は負のスパイラル

インフィニティ要素が加わって販売台数は伸びたのか?

 インフィニティ「スカイライン」は、2014年4月に発売されました。その翌年の2015年度(2015年4月から2016年3月)では、9699台という数値を記録しています。

 一方、トヨタ「クラウン」は同じ2015年度で4万3012台。このときの「クラウン」は、2012年に登場した14代目モデルとなり、発売から約3年が経っていました。

 新型車として登場した「スカイライン」とやや熟成期に入った「クラウン」とではなぜこんなにも差が開いているのでしょうか。

販売台数は堅調なトヨタ「クラウン」

 当時、日産の販売店で実際に「スカイライン」を販売していた元スタッフは次のように説明しています。

「90年代までは、スカイラインといえば日産を代表するモデルでした。もちろん、毎月凄い販売台数を誇っていた訳ではありませんが、堅調な販売状況といえます。

 しかし、GT-Rと別れた11代目のスカイラインでは、それまで伝統であった『直列6気筒エンジン』や『丸型テールランプ』などが廃止され、既存のユーザーやファンから不評でした。

 さらに、インフィニティブランドが付いた13代目ではダイムラー製の2リッターエンジンを搭載するモデルが登場するなど、ますます日本を代表するスカイラインからかけ離れたという印象をもったお客様がいらっしゃったのを覚えています」

※ ※ ※

 また、日産「フーガ」も2015年2月のマイナーチェンジでは、「スカイライン」と同様にインフィニティのエンブレムが装着されました。「フーガ」でも、高級車の新たなベンチマークとして位置づけるために変わったといいます。

 一方で、トヨタ「クラウン」が2018年6月26日に15代目へとフルモデルチェンジした際には、月販販売目標を4500台としていましたが、発売1ヶ月後には目標の7倍となる約3万台を受注するほど好調でした。

 トヨタの販売店スタッフは、「クラウンは『日本』における高級車の代名詞的存在です。そのため、日本をメインにして企画・開発されています。また、クラウンは歴代モデルから乗り継ぎされる人や、クラウンだからという理由で購入されるクルマでもありますので、『あえて変えない』ことでユーザーを繋ぎ止めているのです」と説明しています。

 こうした「スカイライン」と「クラウン」の販売戦略が、販売台数や人気の差につながったのかもしれません。果たして、日産(インフィニティ)「スカイライン」が元気を取り戻す日は来るのでしょうか。
 
【了】

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Writer: くるまのニュース編集部

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