ここはどこ? 海外なのに走るクルマはほぼ日本車 アジア圏で日本ブランドが人気の理由とは

世界各国で走っている日本車。とくに、アジア圏ではよく見かけます。そのなかには、日本では販売されていないクルマも存在。なぜ、国内未導入のモデルが多いのでしょうか。

日本未発売の日本車大国とは

 日本の自動車メーカーは、世界各国でクルマを販売しています。なかでも、タイをはじめとしたアジア圏では、日本未発売の専用モデルが多く走っています。

 2019年3月には、タイの首都バンコクにて『バンコクモーターショー』が開催されました。そこでは、とても海外のモーターショーとは思えない光景が広がっていました。

 そのひとつは、日本車のブースがやたらと多いということ。トヨタや日産、ホンダ、三菱、マツダ、スズキ、そしてレクサスが大きなブースを構えるほか、やや規模は小さいもののSUBARUもブースを出展。現地で販売を行っていないダイハツを除き、日本の乗用車メーカーがすべてブースを構えているのです。

『バンコクモーターショー』に展示された三菱のピックアップトラック「トライトン」

 しかも、日本では乗用車販売をしていないいすゞまで大きなブースを構え、SUVやピックアップを数多く並べているのだから驚かずにはいられません。

 面積比でいえば、4輪車展示ブースの約半分を日本ブランドが占めていました。あまりの日本車の多さに、まるで日本のモーターショーかと思うほどです。

 もうひとつ驚きなのは、見たことのない日本車が多いこと。たとえば、トヨタは話題のハイエースの新シリーズのほか、ハイラックスベースにしたSUV「フォーチュナー」や小型セダン&ハッチバックの「ヤリス」、コンパクトカーの「ヴィオス」、3列ミニバンの「アヴァンツァ」や「イノーヴァ クリスタ」など日本では販売されていない車両が並んでいます。

 日産は、日本で販売している「シルフィ」や「マーチ」に加えてピックアップトラックの「ナバラ」、それをベースにしたSUVの「テラ」などを展開。ホンダや三菱、スズキなど他メーカーも同様で不思議な感覚です。

 なぜ、バンコクのモーターショーではこんなに日本車の比率が高いのでしょうか。それは街を走っているクルマを見れば理解できます。

 街を走るクルマの多くは日本車で、その比率は9割弱。日本全体に比べると比率は低いですが、東京と比べればタイのほうが高いほどです。

 ここまで日本車の比率が高いかについて、現地に駐在している日系メーカー関係者は次のように話します。

「まず、タイには自動車メーカーがありません。そして、日本のメーカーがはやくからタイへ進出し、工場を建てて現地生産をはじめた影響が大きいと思います。

 タイは、自動車の関税が高いので輸入車は驚くほど高額となりますが、国内で製造した車両であれば(輸入車よりは)価格を抑えられるので競争力があります。そして壊れにくいという品質の高さも認められています」

※ ※ ※

 確かにタイでは、大都市のバンコクでも乗用車はメルセデス・ベンツやBMWといった憧れのプレミアムブランドのほかには、ヒュンダイやMGといった韓国や中国資本のブランドしかほぼ見かけません。

 韓国や中国車も現地生産しているので値段は抑えられ、日本車よりも安く販売していますが故障の不安があることや、リセールバリューが低くてお買い得感がないので『どうせなら日本車を買おう』という感覚が強いようです。

 また、そこには日本ブランドに対する信頼のほかに憧れもあり、タイ人の見栄っ張りな性格も影響しているようでした。

国内未導入の三菱「エクスパンダー」や「トライトン」の画像を見る(18枚)

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