なぜトヨタは出さない? HV車種拡大も「電気自動車」を市場投入しない理由

あらゆる分野での可能性を見極めるトヨタ

 確かにトヨタは、まったく電気自動車をやらないというわけではありません。中国向けには、2020年から「C-HR」の電気自動車バージョンを、同じく2020年にインドにもスズキと提携した電気自動車を投入すると発表しています。また、自動運転が可能なモビリティサービス(MaaS)用の「e-Paletteコンセプト」は電気自動車です。

モビリティサービス(MaaS : Mobility-as-a-service)専用次世代電気自動車(EV)「e-Palette」

 FCV(燃料電池車)に関していえば、航続距離や充填時間という点で電気自動車よりも優れており、「水素ステーションといったインフラが整えば普及する可能性が高い」と判断したのでしょう。

 現状では、FCV(燃料電池車)が普及したとは言い難い状況ですが、かといって失敗したわけではありません。継続していくことで、状況が大きく変わり、大化けする可能性もあります。

 個人的な推測ですが、実際のところ欧州と日本で電気自動車が、大きく普及するには、まだまだ時間がかかるのではないでしょうか。

 日本において、クルマ使用シーンは、『航続距離が短く、低速度』がほとんどな上、充電設備に関しては全国津々浦々まで整いつつあり、日本ほど電気自動車の普及に向いているところはありません。

 しかし、日産も三菱自動車も電気自動車の普及には苦戦しています。そんな前例があるのですから、「欧州ですぐに電気自動車が普及する」と甘く考えている人は少ないはず。

 もちろん国策として電気自動車を推進する中国は違い、近い将来に大量の電気自動車が売れる日がやってくるはずですが、欧州は苦戦が強いられると予想できます。

 裏を返せば、トヨタは電気自動車普及の現実味の濃い中国には来年に電気自動車を投入すると宣言。そして、普及の見込みの薄い、欧州と日本にはハイブリッド推しというスタンスなのです。

 世間の“これから一気に電気自動車の世界になる”という風潮に流されずに、堅実に独自の道を歩んでいる。それが『欧州と日本に電気自動車を投入する』と宣言しないトヨタの理由といえるのではないでしょうか。
 
【了】

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