ポルシェ「カイエンS」 桁違いの塊感はパワフルに駆け回る巨象!

そのスペックは狂気の沙汰!カイエンはSUVスポーツカー!!

 走り味も巨象のようです。太い大径タイヤをドタバタとさせて走ります。駆け回る巨象にのった経験はありませんが、イメージとしてはそれなのです。塊感は桁外れなのです。

ポルシェCayenne S(カイエン S)

 メーカーが公表した資料によると、最高速度は265km/hに達し、停止した状態から一気に加速すると、わずか5.2 秒で速度計の針が100km/hに達します。265km/hに達するのは、スポーツカーであっても稀です。2トンを超える巨象が5.2秒で加速するなど、狂気の沙汰ですね。そう、それがポルシェなのです。

 冒頭で、ポルシェがSUVに参入することを否定する人たちがいたことを伝えました。そしてその方々が口をつぐんだことも報告しました。その理由は、販売が好調だったからではなく、SUVとなってもスポーツカーメーカー「ポルシェ」のテイストを失っていなかったからなのです。

伝統を重んじるイグニッションスイッチ

 カイエンSにはいまだにスターターボタンがありません。ステアリングコラムの脇にあるイグニッションスイッチを捻ることで火が入るのです。かつては常識だったそのイグニシッションキースタイルは、時代の流れによっていまではほとんど見かけることがありません。ですがポルシェはいまだにその旧式のスタイルを守り通しています。

 なぜでしょう。

 イグニッションキースタイルのそれは、かつてポルシェがル・マン24時間レースに参戦していたときに、ル・マン式スタートを有利にするための細工だったのです。いまではポルシェはル・マン24時間には参戦していませんが、その名残を伝統として受け継いでいるのです。

 つまり、ポルシェはSUVになってもスポーツカーメーカーですよという誇りとメッセージなのです。だから走りは巨象が突進するように激しいことに納得するのです。

【了】

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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