電気自動車のイメージが変わる? 航続距離が延びた日産「リーフ e+」の凄さとは
従来の電気自動車は、航続距離が短い印象がありました。しかし、日産「リーフ」は年々進化を続け、航続距離を延ばしています。今回の日産「リーフ e+」は、従来モデルと何が違うのでしょうか。
航続距離が更に延びた「リーフ e+」
電気自動車が登場した時から『1回の充電で、もっと長い距離が走れたら』というのは、常にユーザーが求め続けてきた「性能」でした。
初代モデルが2010年に登場してから、常にその声に応え続けてきたと言えるのが日産「リーフ」です。航続距離を延ばすにはバッテリー容量を増やすことがてっとり早い解決策ですが、そうすると重量増やコスト増、充電時間が長くなるなど代償も大きくなってしまいます。
初代「リーフ」は、バッテリー容量24kWhで、1回の充電あたりの航続距離が200km(JC08モード)でしたが、軽量化や制御変更などの改良も含めた進化を続けました。
今回、加わった最新モデルの「リーフ e+」では、バッテリー容量が62kWhになり、JC08モードで570kmを達成。より実走行に近いデータとなるWLTCモードでも458kmと飛躍的に長くなったほか、加速性能や操縦安定性なども改良されたのです。
見た目には、大きく変わった印象はありませんが、ブルーのリップスポイラーがチラ見えする、「e+」専用のフロントバンパーが最新「リーフ」の証で、充電ポートの蓋を開けると、急速充電ポートにも「e+」のロゴが追加されています。
やはり大きく変わったのは中身の方ですが、バッテリー容量が55%もアップしたのに、室内はいっさい狭くならず収納スペースなどを犠牲にしていないのは、どんなカラクリがあるのでしょうか。
パッケージングでは、最低地上高を15mm下げ、全高は5mmアップしています。そして革新的技術を投入したのが、バッテリーのモジュールです。
モジュールとは、単電池を複数使用し、直列や並列で接続させて容量や電圧を調整したものを指し、従来は1モジュールが8セルのセットで構成され、モジュール同士の接続スペースにも数cmを要していました。
それが「ユニバーサルスタック」と呼ぶ新型モジュールでは、自由にセル数を設定できるようになり、パックの形に合わせて好きな組み合わせが可能。スペースをフル活用した結果、搭載セル数が従来の192セルから288セルへと1.5倍にアップしたのです。
バッテリー容量アップに伴い、延びたのは航続距離だけでなく、出力が45%アップの160kW、トルクが6%アップの340Nmへ。80km/hから120km/hの加速時間が13%短縮したほか、70km/hまで最大加速Gが継続するようになっています。これは、セルの3並列化により電流を大幅アップして、インバーターに供給できるようになったことも大きな要因といえます。
実際の試乗では、もともとEVの特徴でもある発進加速性能の良さは相変わらずで、発進直後の印象こそあまり変わらなかったものの、そこから先の伸びやかさがしっかりと続いていく感覚に、『これは確かに違う』と感じます。
ビュン!とスポーティな加速というよりは、より上質で余裕のある加速フィールが、長く続くようになった印象。ブレーキングでの車体全体がひとカタマリのまま止まってくれる安心感や、交差点での落ち着きある挙動もより際立つ感覚で、街中での運転にも上質感が高まったようです。
さらに高速道路に入ると、連続するカーブや高速カーブ、ジャンクションの合流などで、ピタリと路面を捉えて走れる気持ち良さに感心。乗り心地にもやや重厚感が増し、段差を越える時などに少しバタバタしていた足まわりにも、懐の深さがアップしています。