トヨタの「プリウス式」HVとは燃費勝負しない!? スバルのハイブリッド車に与えられた使命とは

各社がしのぎを削る低燃費競争。燃費を重視したハイブリッドモデルと言えばトヨタ「プリウス」ですが、スバルのハイブリッドは燃費重視ではなく、別の使命が与えられました。その使命とは、一体何なのでしょうか。

スバルのハイブリッドシステム「e-BOXER」

 真冬の山形で開催されたスバルのメディア向け試乗会「SUV SNOW DRIVING EXPERIENCE」に参加し、スバルのSUVである「XV」と「フォレスター」で、雪道を思い切り走り込むことができました。

e-BOXERを搭載したスバル「フォレスター Advance」

 そこで感じられたのはスバルのハイブリッドである「e-BOXER」のユニークな個性です。世間一般でいうところのハイブリッドの代表格といえば、トヨタ「プリウス」でしょう。しかし、スバルのハイブリッドは、「プリウス」とはまったく違った走りを提供してくれるものでした。

 スバルのハイブリッドシステムである「e-BOXER」はスバルのオリジナル技術で、特徴はハイブリッド車の専用システムではなく、通常のガソリンエンジン版の派生モデルとして用意されていることです。

 そのため、「e-BOXER」は、通常の2リッターエンジン+トランスミッション(CVT)というパワートレインを生かしたまま、その後ろに新たなに小さなモーターを1つ追加することで、ハイブリッド化を実現しています。

 しかも、スバルの売りであるAWD(オールホイールドライブ)の優れた走りを失わないようにと、前輪と後輪をつなぐプロペラシャフトが残されています。

 また、通常のエンジン車とハイブリッド車で、大きく車体を変えることもできないために、追加するモーターを大きくすることができず、その出力はわずかに10kW(13.6馬力)というのも特徴です。

 そのため、モーターだけで走行するEV走行は、ほとんどできません。2リッターのエンジンとモーターを合計した最高出力は117kW(158.6馬力)です。

 つまり、「ハイブリッド専用車ではない」「トランスミッションの後ろに1個のモーター」「プロペラシャフトを残したAWD」「モーター出力は10kWしかない」「EV走行不可」というのが特徴です。

ハイブリッドの代表「プリウス」には敵わない

 一方、ハイブリッドの代表格ともいえるトヨタの「プリウス」の特徴は、「ハイブリッド専用モデル」「モーターは駆動用と回生・発電用の2個」「FFが基本で、4WDモデルはプロペラシャフトのない後輪をモーターで駆動する方式」「モーターの最高出力は53kW(72馬力)」「EV走行が可能」「1.8リッターエンジンとモーターのシステム最高出力は90kW(122馬力)」といったもの。スバルとは、何もかも違うと言っていいでしょう。

2018年12月にマイナーチェンジしたトヨタ新型「プリウス」

 そして、決定的な違いは燃費性能です。「プリウス」の燃費は通常モデルで37.2km/L(JC08モード)で、4WDでも34km/L(JC08モード)を誇るのに対して、スバルは「XVハイブリッド」で19.2km/L(JC08モード)、「フォレスター・ハイブリッド」で18.6km/L(JC08モード)。つまりスバルのハイブリッドの燃費性能は、「プリウス」の3分の2にも届かないのです。

 しかし、スバルのハイブリッドの燃費性能が「プリウス」に敵わないのは、ある意味、当然のことでしょう。なぜなら、スバルは燃費性能を狙っていないからです。

 何度か、スバルのハイブリッドの開発者に話を聞く機会がありましたが、誰もが判で押したように「プリウスと燃費性能を競っても意味がない」と言います。燃費性能を極めるために業界最大手のトヨタが生み出したのが「プリウス」です。

 業界最大手のトヨタのストロング・ポイントと真っ向勝負しては、スバルに分がないということでしょう。

狙いが違う! スバルとトヨタのハイブリッド車を画像でチェック

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