トヨタの「プリウス式」HVとは燃費勝負しない!? スバルのハイブリッド車に与えられた使命とは
スバルのハイブリッドが担う役割とは?
では、スバルはハイブリッドで何をするのか? それが走りのブラッシュアップです。
ハイブリッドで駆動力を生み出すモーターは、エンジンよりもレスポンスよく、しかも緻密に制御することができます。欲しいときに欲しいだけ使うことができるのです。
そこで、雪道などの足元の悪いシチュエーションで、エンジン出力が高まるまでの一瞬前をモーターが担当。レスポンスよく、しかもタイヤのスリップにあわせて緻密にモーターの力を使って、より安心で確実な走りを実現しようというのです。
また、街中から高速道路までの走行時も、モーターの力を使うことで、走りをよりスムーズにし、加速を力強くすることもできます。山形の雪道で、そうしたスバルの狙い通りの走りを体感することができたのです。
おもしろいのは、「フォレスター」と「XV」では、どちらも2リッターエンジン&モーターの同じシステムを使いますが、それぞれのハイブリッドモデルのキャラが違うことです。
「フォレスター」のハイブリッドは、エンジン車よりもキビキビとした走りでアクティブな印象です。一方で「XV」のハイブリッドは、パワフルでありながらも、どっしりと重厚感があり、1クラス上のクルマのよう。まるで正反対の性格に驚きました。
ちなみに、“走り指向”とはいえ、それでもガソリン車と比べると、「フォレスター」も「XV」もハイブリッドの方が1.2~1.3倍ほど燃費性能は優れています。
「プリウスPHV」のプラグインハイブリッドシステムを「XV」に流用
最後に、2018年11月のロサンゼルスショーで、スバルは「XV」のプラグインハイブリッド版となる「クロストレック ハイブリッド」を発表しました。「クロストレック」とは、北米での「XV」の呼び名です。
なんと、このモデルは「プリウスPHV」のシステムをそのまま流用した2モーター式。しかし、相変わらずプロぺラシャフトのあるAWDであり、燃費性能の追求はそこそこ。月間の生産台数は、わずか300台程度ですから、広く販売したいようには見えません。
開発者に話を聞くと「大容量の二次電池と強力なモーターを活用するためのスタディ」という色あいが濃いようです。
しばらくの間は、従来型の1モーターのハイブリッドがスバルの主力になるはず。とはいえ、PHVのスタディを行うくらいなのですから、電動化への意欲は十分にあると言えるでしょう。
そのうち、スバルからも、もっと強力な電動モデルが登場するのではないでしょうか。どんなクルマになっているのかが楽しみですね。
【了】