『自動ブレーキ』は良くも悪くも浸透 過信事故増えるも世界では義務化の方向へ
世界に広がる「自動ブレーキ」、義務化へ
モービルアイの技術は、自動ブレーキだけではなく、自動で車線変更する自動操舵システムなど、自動運転への分野へ直結。そのため、日産は『自動運転技術を活用した』という枕言葉を使って、運転支援システムの「プロパイロット」のテレビCMを始めました。
このように、スバルの「アイサイト」が市場を切り開き、モービルアイが世界的に普及させた自動ブレーキ。 日本では、軽自動車にまで標準装備されるようになります。
当初は、赤外線を使った比較的安価な装備でしたが、日本メーカーのカメラをひとつ装着したシステムが一般化してきました。
ホンダは、軽自動車の「N-BOX」にて、走行中の前車に自動追従する機能を含む自動ブレーキを標準装備。これが、「N-BOX」人気の大きな要素です。
ホンダに限らず、最近の自動ブレーキは、走行中に前方の危険を認識して減速、または完全停止するだけではなく、アクセルとブレーキの踏み間違い防止装置も、自動ブレーキの仲間といえます。
コンビニの駐車場に前向きに駐車していて、誤ってアクセルを大きく踏み込んでも、カメラやレーザーが障害物を感知して、エンジンの回転数を制御するシステムです。
国際連合の欧州委員会は2019年2月、日本やEUなど参加40ヵ国で販売する新車で自動ブレーキ装着を義務化することを決めました。早ければ2020年からの実施を目指します。
日本ではすでに、軽自動車を含めて新車の約7割に自動ブレーキ機能が搭載され、今後はさらに普及が進むことは間違いありません。
また、『自動ブレーキ』という表現について、ユーザーが走行中の安全について過度な期待をするとして、国土交通省は「広告などで活用する際は十分な配慮が必要」との見解を示しています。
このように、ユーザーへの理解や認知に一役買った『自動ブレーキ』ですが、過信し過ぎてしまうというデメリットも出てきているようです。
今後もさらに進化した技術が登場するなかで、ユーザーにわかりやすく、誤解されないような宣伝方法が期待されます。
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Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。