新型「スープラ」「86」もコラボ作 トヨタがスポーツカーを自社だけで開発しない理由とは
17年ぶりに復活するトヨタ「スープラ」は、BMWと共同開発されました。トヨタは2012年に発売した「86」をスバルと共同開発していますが、トヨタが自社だけでスポーツカーを開発しないのはなぜなのでしょうか?
トヨタのスポーツカー「スープラ」と「86」の共通点
トヨタは2019年1月にアメリカで開催されたデトロイトモーターショーで、待望の新型「スープラ」をお披露目しました。新型「スープラ」は高出力エンジンを搭載した後輪駆動の2人乗りスポーツカーで、日本では夏前に発表されるといわれています。
現在トヨタは「86」というスポーツカーも販売しており、「86」が入門用なのに対して、「スープラ」は性能的にも価格的にも上のポジションを担うモデルとなります。
そんな2台のトヨタ・スポーツカーですが、ある共通点があります。それは「他メーカーと共同開発」していることです。「86」はスバルと一緒に、「スープラ」はBMWとジョイントで作りました。
とはいえ、ひとくち共同開発といっても、「86」と「スープラ」ではその意味合いがまったく異なります。
「86」のスバル版兄弟車は「BRZ」で、「BRZ」と「86」の設計はほとんど共通なのに対し、「スープラ」のBMW版兄弟車となる「Z4」は、基本メカニズムこそ共通ですが、ボディデザインもパッケージング(スープラはクーペでZ4はオープンカー)も別。「スープラ」のほうが専用設計が多いのです。デザインはトヨタがおこなっていますが、「Z4」とはまったく異なるクルマといえるでしょう。
この「スープラ」と「86」を比べてわかるのは、ひとくちに共同開発とはいっても、そのやり方には色々な方法があるということです。
「スープラ/Z4」と「86/BRZ」の開発で違った点
いずれもトヨタは、コンセプト段階からスバルやBMWと意見を交えながら開発していますが、「86」と「BRZ」は基本的に同じメンバーが車両設計したのに対し、「スープラ」と「Z4」ではまったく異なる開発チームが担当したというのが大きな違いです。
基本メカニズムを共用するとはいえ、サスペンションの味付けだけでなく、エンジンやトランスミッションの制御まで、共同開発の他モデルとは異なる「スープラ」のほうが、よりオリジナリティが高いのです。
「86」に続いて「スープラ」の開発も担当したトヨタの多田哲哉氏によると、「『86』の開発は、クルマに対する考え方や車内の文化はもちろん部品の名称までトヨタとスバルでは違うことが多く、苦労しました。
しかし、『スープラ』を共同開発した今にして思えば、『86』はまだ楽でしたね。お互いに日本語で話すから意思の疎通がしっかりできるし、理解しようと努力しました。
ところが『スープラ』に関しては、BMWのエンジニアとは(お互いに母国語ではない)英語でやり取りをするので、言葉は通じてもビジネスライクな会話になりがちで、冗談を言い合える関係になるのに時間がかかるなど、本音で意思疎通できるようになるまでが大変だったです」といいます。