新型「スープラ」「86」もコラボ作 トヨタがスポーツカーを自社だけで開発しない理由とは
トヨタがスポーツカーを他社と共同開発する理由とは?
ところで、なぜトヨタは、スポーツカーを自社だけで開発しようとしないのでしょうか? 大きな理由は、車種によっては数十億円もしくはそれ以上かかるといわれている開発費です。
スポーツカーは専用のプラットフォームを採用するのでコストが多くかかるだけでなく、一般的な車種以上に走行テストを多くこなし、先進的な技術を投入することもあるので開発に莫大な費用を必要とします。
しかし昨今、スポーツカーの販売状況は世界的に良好とはいえません。お金がかかるけれど販売はそれほど多くを見込めないのが現実なのです。
そこで利益を確保するため、他社と開発費負担を折半することでコストを低減しようというのです。それは、性能の優れた車両をできるだけ価格を下げて市場へ提供することにもつながります。
とはいえ、コストを減らした結果、魅力のないクルマができてしまっては元も子もありません。だからトヨタは「86」でも「スープラ」でも、共同開発したクルマとは異なる魅力的な走りやデザインを盛り込んでいるのです。
「86/BRZ」の次期モデルも共同開発中 2021年に登場か!?
さて、気になるのは「86」と「BRZ」の今後です。それぞれ次期モデルは登場するのでしょうか?
筆者(自動車ライター工藤貴宏)が聞いている範囲では、現行モデル同様に次期型もトヨタとスバルで共同開発を進めているとのこと。現行型は2012年に発売され、2016年に大規模なマイナーチェンジを受けて「KOUKI(後期)」と呼ばれるタイプへ進化しています。
その間隔である4年半を折り返し地点と考えると、次のモデルが登場するのはデビューから9年後。つまり2021年の春から夏あたりと予測できます。
「コペンGR」も登場!将来的には「ロードスターGR」や「スイフトGR」もアリ!?
また、共同開発とは異なりますが、トヨタは別の形でもスポーツカーのラインナップを増やす方法を模索しています。
そのヒントが、東京オートサロン2019のトヨタブースに展示されていた「コペンGR」にあります。
「コペン」はトヨタの子会社であるダイハツの軽自動車オープンカーですが、そのスポーツバージョンの「コペンGR」がトヨタブースに展示されていたので驚きました。もちろんダイハツブースにも「コペンGR」が展示されていました。
トヨタ社内のスポーツカーブランドである「GR(Gazoo Racing)」の関係者によると、「手がけるクルマをトヨタ製に限定する必要はないと思っています」とのこと。関係者に取材したところ、「コペンGR」はトヨタとダイハツから販売されることになるようです。
さすがに日産「GT-R」やホンダ「NSX」は難しいかもしれませんが、資本関係があってグループを構成しているマツダやスズキなら可能性があります。
将来的には「ロードスターGR」や「スイフトGR」がトヨタから登場するようになるのかもしれません。
【了】
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。