「下町ロケット」よりもすごい!? 無人トラクターのリアルは想像以上だった

年末年始にかけてヒットしたドラマが「下町ロケット」です。技術者たちのさまざまな人間ドラマが描かれていましたが、登場人物たちと同じくらいストーリーの重要なキャラクターになっていたのが「無人農業用ロボット」です。実は未来の話ではなく現実の世界なのです。今回はその実像に迫ります。

すでに日本で無人自動運転は実用化されていた…高齢化、人手不足の助けに

 年末年始にお茶の間を沸かしてくれたドラマが、「下町ロケット」のゴースト編とヤタガラス編。その中に登場し、ストーリー上の重要な役割を担っていたのが、無人農業用ロボットです。『ダーウィン』と『アルファ1』『ランドクロウ』という無人農業用ロボットが登場し、開発競争に鎬を削る様子が描かれました。

 あのドラマを観て、「日本の農業の未来はこうなるのか!」と思った方が多いと思います。しかし、ドラマの合間に流れるCMを観てわかるように、実は無人農業用ロボットはすでに現実のものとなっています。開発したのは、農業機械メーカーのクボタ。農業従事者でなくても誰もが知っている、日本のトップメーカーです。

アグリロボトラクタ「SL60A」(2台協調制御)

 クボタが無人自動運転のトラクター「アグリロボトラクタSL60A(以下、SL60A)」をモニター販売したのは、ドラマの放映よりもかなり前の2017年6月のこと。なぜこのようなトラクターを開発したのでしょうか。クボタ東京広報室に、開発の主旨を聞いてみました。

「日本の農業は、農家の高齢化によって離農、農地の委託といった事例が多くなっており、その結果として一農家が営農する規模がどんどん大きくなっています。その人手不足解消のお手伝いという点で、クボタはこうした農業機械を開発しております」といいます。

 SL60Aは測位衛星からの信号情報を使って、無人自動運転するトラクターです。1台の場合は、有人監視の下で無人自動運転。2台の場合は、片方のトラクターに人が乗って監視し、1台もしくは2台が同時に自動運転を行います。自動運転時にはトラクター自体は勝手に動いてくれるのですが、基本的には人が動きを監視する必要があるわけです。はたして、それで農家の負担は軽くなるのでしょうか。

 その疑問について、クボタはこのように答えてくれました。

「前出の通り、国内農業の課題解決には、短時間で農作業を効率よく、かつ正確にできる農業機械が求められています。有人監視下での無人機による自動運転作業、有人機との2台協調制御を高精度な作業を実現し、高効率化、省人化などにより農家の負担を軽くできます」

 SL60Aの機能は、想像以上に進化しており驚かされます。まず自動運転に際しては、耕耘走行には自動車の自動走行よりも高精度な測位が必要であり、SL60AはRTK方式という測位を採用しています。使用に際しては、RTK基地局を設置しトラクターへ補正情報を送ることで圃場内の正確な位置を測位、これをもとに自動走行を行います。

 自動運転の前にまず有人でSL60Aを運転し、圃場の入口、各隅で、車内にあるターミナルモニタのボタンを押して土地の形状を記憶させます。SL60Aがすごいのは、ここから。インプットされた土地の形状情報を基に、コンピュータがもっとも効率がいい耕耘のルートを自動算出してくれるのです。

 ちなみに四角い土地だけでなく、複雑な形の土地でも対応してくれます。マッピングが完了したら、オーナーは自動走行リモコンでスタートさせるだけ。日常的にPCやデジタルガジェットを使っていない高齢者でも、簡単に操作できます。

 その後、オーナーは作業中のSL60Aの近くにいて、専用タブレットで動きを監視していればいいのです。タブレットには、SL60Aの4台のカメラから送られてくる監視画像の他、車両動作状態のデータや作業の進捗状況が表示されます。またトラクターに人が近づいた場合は、レーザースキャナーと超音波ソナーによって感知し、すぐに緊急停止する機能が搭載されているので安心です。

クボタが次々と発表する次世代農機を写真でチェック

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