大手国策企業と民族系がしのぎを削る 中国自動車メーカーの特徴と自動車市場の今
中国の自動車メーカーを大きく分けると、外資自動車メーカーとの合弁を持つ大手メーカーと、民族系と言われる民間企業があります。それぞれどんな特徴があるのか、実際の販売台数も含めて紹介します。
中国の自動車メーカーは国策企業と民間企業
中国で1番売れている自動車ブランドである一汽大衆は、第一汽車とフォルクスワーゲン(中国語で大衆)の合弁会社のブランド名です。2番目に売れている上海大衆も同様に、上海汽車とフォルクスワーゲンの合弁会社のブランドです。
このブランドのもと、フォルクスワーゲン車を生産・販売していますが、上海汽車はそのほかにもGMとの合弁会社や、自車オリジナルのROEWEやMAXUSとったブランドを持っており、それら全体を指して、上汽集団(SAIC)といいます。この上汽集団が中国最大の自動車メーカーであり、25%ほどのシェアを持っています。
次いで、東風汽車と第一汽車が続きます。東風汽車(DFM)は湖北省武漢市に本拠を構え、日産やホンダとの合弁会社を持っています。以前は「第二汽車」という社名で、中国で2番目の自動車メーカーという歴史あるメーカーです。
第一汽車はその名の通り中国初の自動車メーカーで、中国共産党総書記が使う公用車ブランドとして知られる「紅旗」を傘下に持つ歴史と伝統あるメーカーです。
以下、長安汽車集団(Changan)、北京汽車集団(BAIC)、広州汽車集団(GAC)と続きます。これらのメーカーはすべて外資との合弁会社を持ち、中央または地方政府と深い結びつきを持ちながら成長してきた国策企業です。
※いずれも2018年第1四半期の販売台数集計値
外資との合弁会社を持つ大手自動車メーカーが中国市場の主役であるとすれば、もうひとつの主役が「民族系」と呼ばれる叩き上げの民間企業です。ボルボを買収し、さらにダイムラーAGの筆頭株主となった吉利汽車(GEELY)がその代表格でしょう。
そして、いま世界でいちばん新エネルギー車(PHV/EV/FCVを指す)を数多く売っている比亜迪(BYD)も注目です。もとは世界有数のリチウムイオンバッテリーメーカーでしたが、その技術力をクルマに転用。プラグインハイブリッド車を開発し、国内外で高く評価されています。
また、SUVが大人気の中国市場において、その火付け役と言われている長城汽車(GREATWALL)は、販売台数を急激に伸ばし、一躍、人気メーカーとなりました。
こういった民間企業は、外資との合弁を持つことができなかったため、その逆境を跳ね返すがごとく独自の開発力・販売力を身に着け、中国オリジナルブランドとしてはトップクラスの販売台数を積み上げるほどになりました。
では、実際に中国市場での販売台数やどんなブランドが売れているのか見てみましょう。